認知症の種類別における入浴拒否の特徴

認知症の人はある時期になると入浴や口腔ケアといった清潔ケアへの介入を拒むことがあります。そのなかでも、入浴拒否は介護者を悩ませる場面のひとつです。今日は認知症の種類別における入浴拒否の特徴についてご紹介します。

認知症の種類によって拒否の背景は違う

8割以上はアルツハイマー型認知症

入浴拒否をする認知症の人の80〜90%はアルツハイマー型認知症です。ほかのタイプの認知症に比べると、圧倒的に入浴拒否がみられるという事実があります。

(伊苅弘之著:『認知症の人が「入浴拒否」する理由とそれぞれの対応法』日総研出版 認知症介護2014秋号 P41)

認知症=入浴拒否というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実は認知症の入浴拒否のほとんどはアルツハイマー型認知症です。私の経験では、レビー小体型認知症の人も拒否をする方はいましたが、アルツハイマー型認知症ほどの長引く入浴拒否はなかったように思います。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症の場合、服を脱いだ後になって「入らない」と言い出すようなことはほとんどなく、ほとんどが声をかけたときや浴室の前に行った時点でお断りされます。

職員
かめさん、おふ・・・
かめさん
入らんよ!!!

こんな感じで、かぶるくらいの勢いで拒否するのがアルツハイマー型認知症の特徴です(笑)

私の経験上、アルツハイマー型認知症で入浴拒否があると、長い間同じ状況が続きます。

レビー小体型認知症

参考書などでは、レビー小体型認知症の人は入浴拒否は少ないと言われています。ですが、私はけっこう拒否されました(笑)私のケアに問題ありだったのだと思うのですが。。。

レビー小体型認知症の場合は、アルツハイマー型認知症のように「絶対入りません!!!」という拒否ではなく、「なんとなく具合が悪い」というような身体症状と絡めてお断りとなることが多い印象です。また、このタイプの場合は、幻視→被害妄想が原因なこともあります。

以前経験した例では

この間、風呂の中に龍がおって足引っ張られたんよ・・・

怖いから入らん・・・

といっていた人がいました。そりゃあ、怖いよね。。。苦笑

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症の人と関わったことが少ないため、私の数少ない経験からしか言えないのですが、病気の特性上、完全に「自分勝手」です(笑)。決まった入浴時間に入るというという社会性がなくなるので、声をかけても気乗りしないときは入らない、入りたくなったら異性の入浴時間帯であっても入ろうとする、なとがありました。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、基本的にはお風呂好きの方が多いです。ただ、全く入浴拒否がないというわけではなく、病巣の部位による症状の違いや、もともとの性格によって、入りたがらない方もいます。私の印象では、確固たる拒否というよりは、「面倒だから」「今日は億劫だな」という感じでお断りとなるケースが多いように感じています。

まとめ

認知症の種類別における入浴拒否の特徴についてご紹介しました。この内容は日総研出版の雑誌認知症介護”2014秋号の伊苅弘之先生の記事を参考に、私の経験を付け加えさせて頂きました。参考になると嬉しいです。次回は介入のヒントについてお伝えしたいと思います。

アルツハイマー型認知症の特徴・症状・経過

2018年5月15日

脳血管性認知症の特徴・症状・経過

2018年5月15日

レビー小体型認知症の特徴・症状・経過

2018年5月15日

前頭側頭型認知症の特徴・症状・経過

2018年5月15日

1 個のコメント

  • さすがは、お師匠様。

    有言実行。見倣います。ありがとうございます。