なぜ認知症の人は嫌な思いをしたことはよく覚えているのか?

「認知症の人は嫌な思いをしたことはよく覚えている」と感じたことはありませんか?「忘れてほしいことは忘れてくれないのよね」なんて、つい苛立ちを感じてしまうこともあるかもしれません。なぜ認知症の人は嫌なことは覚えているのでしょうか?今日は感情と記憶について記事にしていこうと思います。

感情が動いた記憶は残りやすいのは扁桃体が関係している


認知症では感情を伴う記憶は残りやすいと聞いたことがありませんか?それは脳の働きが大きく関係しています。

脳の中には「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれる部位があります。ここは人の感情のなかでも快・不快を感じる場所なのです。そしてこの扁桃体は海馬のすぐ近くにあります。ですから、快・不快などの感情を伴う記憶は扁桃体からすぐに海馬に伝わるため記憶が残りやすいのです。

不快な感情の方が強く残る

自分に置き換えて考えてみましょう。きっと楽しいとか嬉しいと感じたことはよく覚えているはずです。しかしそれ以上に嫌な思いをしたことを覚えていないでしょうか?子供の頃怖い思いをしたことや、上司から言われた嫌味な一言など・・・。思い当たることがありませんか?

そうなのです。嬉しいとか楽しいという快の感情ももちろん残るのですが、一般的には快よりも不安や恐怖などの不快のほうが強く残ってしまうといわれています。

自分を守るために覚えている

なぜ嫌なことのほうが記憶に残るのでしょうか?それは、自分の身を守るためです。怖い思いをした出来事があったら、この先その怖い思いをしないように生活をしていこうと脳は判断するようです。仕事で失敗をしたら、次は同じ失敗をしないようにその失敗を覚えているのも、もう怒られて嫌な思いをしたくないという防衛反応かもしれませんね。

まとめ

ここまで読んでいただけたらわかると思いますが、怒らせてしまったり、怖い思いをさせてしまったり、不快な思いをさせてしまったりしたことは忘れてくれません(涙)ここをしっかり認識にして関わりましょう。