認知症ケアの方法を勉強していると、「話題を変えるといい」とよく書かれています。同じ話を繰り返すときや、帰宅願望が強い時などに、話題をそらして違うことに目を向けるようにするといいよ、ということですが。。今日はこの「話題を変える」について一緒に考えていきましょう。
「話題を変える」の理由は?
「話題を変える」ということは、どういうことでしょうか。おそらく「意識を他に向けたい」ということだと思います。それな何故でしょうか?どんな時にそのようなことが必要になるのでしょうか?
同じことを何度も言われて聞いているのが辛くなったとき
認知症の人と話していると、同じ話が1日中続きます。私はこの同じことを何度も聞くということが全く苦痛にならないタイプなのですが、(スルーする天才なので 笑)苦手な人には拷問だと思います。。なんとかこの苦痛から解放されたい、という思いから違う話題へのシフトを考える場面がよく見られます。
この場合、本人が楽しそうに話しているのであれば、話題を変える必要はさほどないと思います。なんなら、同じ話でずっと笑顔でいてくれるなら専門職だって楽なはずです。無理に違う話題に変えて混乱させてしまうよりはずっといいと個人的には思います。
認知症では、「保続」という思考の切り替えができないということが起こってきます。同じ話が繰り返されるのは、この保続も関係していると思います。
帰宅要求など対応できないことを言われたとき
おそらく話題を変えたい、と思うのは対応できない訴えをされたときではないでしょうか?


みたいなこと、よくありますよね。
で、これに対して



と怒られたりします。
まあ、当たり前です。このような訴えをするときは本人にとっては完全に危機的状況なわけですから、呑気にお茶を飲んでいる場合ではないですよね。はっきり言って、このような状況になってしまったら、話題をそらすのは無理だと思った方がいいです。
なんでもそうですが、介入できなくなるまで感情を高ぶらせてしまったら、無理に沈めようとしても感情がぶつかってさらにヒートアップしますので、本人が自分の中で折り合いがつけられるまでそっとしておくしかありません。
話題を変えるときのコツ
「感情を動かす」のがポイント
危機的状況になってしまったら話題を変えるのは難しいですが、「あ、このままこの話が続くと混乱するな」と予測されるときは、早めに話題を変えたほうがいいです。ただ、先ほどから述べているように、認知症の人は思考の切り替えが難しいので、話題をそらすというのは簡単なことではありません。
今までの経験で、話題をそらして混乱を予防できたパターンを探ると、「感情が動く」というのがひとつのポイントかなと感じています。
例えば、ただお茶を飲むだけでは感情は動かないですが、「ものすごーーーく美味しかった」とか「湯呑み茶碗の絵が故郷を思い出させた」とか、何かしら感情ごと他に意識が向くと切り替えができるようです。

連想ゲームで話題を変える
突然、違う話題にしても、認知症の人も「は・・・?」という感じですし、かえって怒らせてしまうこともあります。なので、私はよく連想ゲームのように話題を変えていきます。











・・・というような流れで少しずつ本人が話したい“ツボ”を見つけていくと、感情が動いて意識が他に向くことがあります。私はこのコミュニケーションが個人的に大好きでずーーーっと続けられます。
たまーに、1周回って元に戻ってくる、なんてこともありますが(笑)
まとめ
「話題を変える必要があるのか?」「話題を変えられる状況であるのか?」まずはここをちゃんとアセスメントしましょう。案外、必要じゃない場面や適応外の状況なこともあります。専門職は良いと思っていても、必要以上に関わることで余計に混乱させてしまうこともあります。過度に介入しすぎないのも認知症ケアもポイントです。