認知症ケアにおける食事を考える〜摂食嚥下のメカニズムと解剖生理をおさえる〜

今までも食事ケアでついてはちょこちょこと書いてきたのですが、“いつかちゃんとまとめたいなー”と思いながらも、“まとめるとなると大変なことになりそうだな・・・”という気持ちが勝ってしまっていました。ついに思い腰を上げ(?)シリーズでお伝えしていきます!最後までお付き合い下さい!

摂食・嚥下のプロセスを理解する

具体的な食事介助を先に教えてくれ・・・と思う方もいるかもしれませんが、私のブログはそうはいきません(笑)。私自身が、完全に左脳派で理論から入っていくタイプだから、というのもありますし、根本を理解しないと「その人に合った方法」を見つけることが難しくなるからです。

一人ひとり、なぜ食事に問題が起こってくるかは違います。「どこに問題があるのか?」が分かれば、「どこを介助すれば良いか」がわかってきます。その「どこに・どこを」を評価するために、ますはプロセスを理解する必要があります。

摂食嚥下過程の5期(レオポルドの5期モデル)

摂食嚥下の過程は5期に分けられます。

1.先行期

・食べ物を認識する(食べる物だとわかる)
・「なにを」「どのくらい」「どのように」食べるかを決める
・箸やスプーン、または手で食べ物を口の中に運ぶ

2.準備期

・食べ物を口の中に取り込む
・口の中に運んだ食べ物を歯で噛み唾液と混ぜて食塊を作る
・飲み込む準備

3.口腔期

・食塊を咽頭に送り込む(舌と硬口蓋を接触させる)

4.咽頭期

・食塊を咽頭から食道へ送る
・喉頭蓋が閉じる(気管に入らないよう蓋にする)

5.食道期

・蠕動運動によって食塊を食道から胃に送る

「準備期」と「口腔期」は随意運動(意識的に動かす)で、「咽頭期」と「食道期」は不随意運動(意識して動かすことができない)です。

なにかしら食事に問題が出てきたら、この5期のどこに問題があるのか?を丁寧に観察して評価してみるとヒントがつかめることが多いです。

解剖

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食べ物を口に取り込み、噛み砕いたり舌で押しつぶしたりしながら唾液と混ざり合い、食塊を作ります。飲み込みやすい形になったら舌を硬口蓋に押し付けて奥へ送り込みます。このとき、唇が閉じ、軟口蓋が鼻腔との間を閉鎖します。嚥下のときは喉頭蓋が気管を塞ぎ食べ物や飲み物が気管に流れ込まないようにしています。

まとめ

まずは、基本中の基本をおさえました。食べ物を目にしてから胃に行くまでに、身体はいろんなことをしてくれているんですよね。有難いです♡次回は「認知症と食事① 認知機能障害の影響」です。

参考文献

橋下愛著:口から食べるを支える!認知症高齢者の嚥下リハビリテーション,臨床老年看護,vol.22 No.2,P15 日総研出版
山田律子著:認知症の人の食事支援BOOK 食べる力を発揮できる環境づくり,中央法規出版,2013
山田律子著:食事に関する評価とアセスメント 身体機能を中心に,認知症ケアジャーナル第10巻第3号 P246~252 2017.12 ワールドプランニング
松本佐知子著:食べない、異食の要因とケア,臨床老年看護,vol.21 No.4,P59 日総研出版
第7回杉並区医療介護連携研究会 PDF http://www.sgn.tokyo.med.or.jp/carewoker/pdf/renkei_20141011.pdf