新しい時代の認知症ケア②「後手の認知症ケア」から「先手の認知症ケア」へ

雪かき疲れの市村です(笑)前腕と背中が痛くて、デスクワークにも響いています。筋トレだと思って冬を乗り越えようと思います。

さて、前回から続いている新しい時代の認知症ケアシリーズ第2回は「後手の認知症ケア」から「先手の認知症ケア」へという内容で考えていきたいと思います。「後手から先手へ」は今までもセミナーなどでよく話しているので、聞いたことがある方もいるかもしれません。

1回目のBPSDの対応」ではなく「BPSDの予防」が主流になっていくのBPSDの予防も先手のケアですが、今日は介護保険サービスの導入などの部分で考えてみたいと思います。

認知症の人に対する介護保険サービスの導入について

サービス導入が遅れがち

今まで、たくさんの介護現場をみてきましたが、認知症の人への介護保険サービスの導入が遅れがちだと感じています。

これには
・独居で周囲が認知症だと気づくのが遅れる
・認知症の初期では病院に行きたがらないことがある
・本人が介護保険サービスを使うことを拒む
・介護サービスを「困ってから使うもの」と認識している
・どのように進んでいくのか把握できていない
・経済的な問題

などの原因があるのではないかと考えています。

困ってからでは遅い

「自分たちがみれる限り、自分たちで介護をしたい、しなければいけない」と思っている家族がたくさんいます。確かに、家族には家族の役割があります。しかし、実際には家族が「もう無理です」と感じてからサービスを導入しても正直軌道に乗せることは難しいのです。

専門職ならわかると思いますが、行動・心理症状(BPSD)が強く出た状態で慌てて訪問介護やデイサービスを使おうと思っても、BPSDが出ている場合は本人のなかに強い不安や憤りがある場合があり、新しい環境に適応することは容易なことではありません。

最悪の場合、1度サービス導入につまづくとその後何もかも受け入れてもらえなくなる可能性があり、負のスパイラルにはまってしまいます。、本人も家族も、専門職もみんなが辛くなってしまいます。

これからは先手の介護保険サービスの導入を

困る前に少しづつ介護保険サービスを導入する

認知症の人で、中期以降になってもほとんどBPSDが出ずに穏やかに在宅で暮らしている人をみると、早い時期から介護保険サービスを適度に使っています。認知症は必ず進行する病気ですから、「今はまだ必要ない」ではなく、「この先どのように進むか?そのために今から何のサービスを入れておくか?」という視点が求められると思います。

本人も家族もゆとりができる

早くから介護保険サービスを導入することのメリットは、新しい環境に適応しやすいことや、自分でサービスを選ぶことができるということです。また家族も介護体力を残しながら生活をすることができます。

また、早い時期から自宅以外で本人が緊張しないで過ごせる場所を作っておくということが、認知症が進んだときにも重要な役割を果たします。

知り合いの工藤広伸さんの新刊のキャッチコピーをパクると(笑)、使える制度は使う、頼れる人には頼る、便利なツールは試す!です。

(工藤さんの新刊については次回のブログで詳しくご紹介させていただきます!)

BPSDが出にくい

前回のブログとも重なりますが、早い時期から専門職に任せたり、早い時期から自宅以外での居場所を作っておくことがBPSDの予防にもつながります。BPSDの予防ができることのメリットは前回のブログに書いています。

家族に伝える力をつける

専門職側が「そろそろこのサービスを入れた方がいいかな」と思っても、家族に「まだ大丈夫です」と言われてしまうと、引き下がってしまうことも多いと思うのですが、専門職として「先のことを考えたら今のうちにこのサービスを入れた方がいい」と思うのであれば、それをきちんと伝えることが必要だと思います。

“介護保険サービスを導入したその後の人生まで想像させる力”が今後専門職にも求められていくと考えます。

まとめ

よく、「ケアマネで人生が変わる」という言葉を聞きます。どの世界でもそうですが、“良いケアマネ”“良いケアマネ”がいることは事実です。(何が“良い”で何が“悪い”かもそれぞれですが・・・)。ですので、ケアマネジャーに全てを任せるのではなく、それぞれの専門職が同じ視点で当事者意識を持ち、形だけではないサービス担当者会議をしていくことに更に力を入れていく時代になると考えています。

1 個のコメント

  • お師匠様

    今日のメルマガは、納得の内容です。

    私自身も一昨年から義父の介護をしておりますが、

    まさに、人に頼る・使える制度は使い倒す・使えそうなツールやアイデアはまず試す。
    これでしのいでおります。

    ありがとうございます。