アルツハイマー型認知症の病理学的変化を理解する①

アルツハイマー型認知症を勉強していると、次のようは言葉に出会うことが多いと思います。

・アミロイドβ
・神経原線維変化
・タウ蛋白
・老人斑
・アセチルコリンの減少

ここがわからなくても、ケアにはさほど影響がないのでセミナーなどでは話さないのですが、「知識を追求したい」という方向けに、ひとつずつ記事をわけて、基礎的なことからできる限り具体的にわかりやすくお伝えしていこうと思います。

今日はまず、アミロイドカスケード仮説について説明します

アミロイドカスケード仮説

仮説と病理解剖

アミロイド仮説、アミロイドカスケード仮説とは、「アミロイドの蓄積がアルツハイマー型認知症を発症させる」という仮説のことです。

現在もっとも有力なアルツハイマー型認知症発症のメカニズムです。

内容については後ほど説明するとして、まず、仮説ということに注目しましょう。

ご存知の通り、アルツハイマー型認知症の原因はわかっていません。原因はわかってはいませんが、「おそらくこれが原因だろう」というのが病理解剖や研究で明らかになってきています。

原因が不明な病気や、症状のメカニズムが解明いされていないものというのは、認知症のほかにもたくさんあります。このような場合、病理解剖によって原因の究明や治療法の検討などがされていきます。

病理解剖とは

病理解剖とは、病気のために亡くなられた患者さんのご遺体を解剖し、臓器、組織、細胞を直接観察して詳しい医学的検討を行うことです。

【一般社団法人 日本病理学会ホームページより引用】
http://pathology.or.jp/ippan/byourikaibou.html

最初にも書いたように、アルツハイマー型認知症の場合、現時点で1番発症のメカニズムとして可能性が高いとされているのが、このアミロイド仮説です。(仮説なので否定している学者もいます)

アミロイドカスケード仮説

では、アミロイドカスケード仮説とはどんな仮説か?というところに入っていきますね。最初に書いたように「アミロイドβの蓄積がアルツハイマー型認知症を発症させる」という仮説がアミロイドカスケード仮説ですが、もう少し深く説明していきます。

①アミロイドβというタンパク質が細胞の外に蓄積し、老人斑が形成される。神経細胞が死滅する。(アミロイドβの蓄積)

②アミロイドβの蓄積によって、タウタンパクというタンパク質がリン酸化し、細胞内に糸くず状に溜まる。(神経原線維変化)。結果として神経細胞が死滅する。

これが、アミロイドカスケード仮説です。

生理学初心者には、なんのこっちゃ!?という言葉がたくさんですね。

次回から、この仮説を一つひとつ読み解いていきますので、ゆっくり勉強していきましょう。この言葉になんとなく慣れておいてくださいね!

まとめ

1.アルツハイマー型認知症の原因はまだわかっていない
2.アミロイドの蓄積がアルツハイマー型認知症を発症させるという「アミロイドカスケード仮説」がある
3.「アミロイドカスケード仮説」が現在もっとも有力なアルツハイマー型認知症発症のメカニズム

◆参考文献はこちらの記事に載せています


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1 個のコメント

  • お師匠様

    このシリーズは非常にうれしい企画です。

    介護する人間(とくに私?)には知識と実践スキルが求められますので

    じっくり何度でも読ませていただきます。

    ありがとうございます。