アルツハイマー型認知症の病理学的変化を理解する⑤

こちらの記事の続きです。

今日は神経原線維変化についてお伝えします。この言葉もアルツハイマー型認知症の勉強をすると必ず登場するので、聞いたことがあると思います。

前回の記事で説明した老人斑は、アミロイドβが細胞の外に沈着したものでしたね。今日説明する神経原線維変化はリン酸化されたタウタンパクが細胞内に蓄積したものになります。

個人的にはここが1番難しいと感じています。何度勉強しても、正直いつまでたっても「わかった!!」という域までたどり着けません。。。でも頑張ってできるだけ、わかりやすくしたいと思います。(ちょっと自信ないですww)

神経原線維変化とは

神経細胞の中や樹上突起の中に、タウタンパクがひも状の塊となって蓄積すること神経原線維変化とよんでいます。

細胞内に微小管とよばれる菅状のタンパク質があって、蛋白質の輸送や細胞の骨格としての働き、細胞分裂にもになっています。
(このあたりは私には難しすぎて、まだこの程度の説明しかできません・・・)

この微小管というレールのようなものを補強するまくら木のような働きをしてるのがタウタンパクです。(微小管結合タンパク質の一種)

アミロイドβと同じで、タウタンパクそのものは異常なものではありません。

タウタンパクが過剰にリン酸化されること、ここが問題となってきます。

タウタンパクの過剰なリン酸化

「リン酸化」というのがなかなか難しいのですが、リン酸化はタンパク質の調節や細胞全体の情報伝達を担っています。

タンパク質が受容体と結合することで、受容体のアミノ酸がリン酸化し、タンパク質の構造(種類)を変えることで、どんどん情報を伝えていきます。リン酸化のリレーで情報を伝えて行くイメージです。

タウタンパクの機能はリン酸化によってコントロールされているのですが、何らかの原因でコントロールの異常が起こると、タウタンパクの機能が不安定になります。

過剰にリン酸化されたタンパク質は、集まって不溶性(水に溶けない)の線維状の凝集体を形成します。この凝集化したものが神経細胞の中に溜まったもの、これが神経原線維変化ということになります。神経原線維変化は、神経細胞の機能を障害し、神経細胞はやがて死んでしまいます。

また、タウタンパクが過剰にリン酸化されることで、微小管に結合できなくなってしまいます。その結果微小管が不安定になって細胞の機能が低下すると考えられています。

 アミロイドβの沈着が神経原線維変化の形成を促している、ということもわかってきているようです。

補足
タンパク質は20種類のアミノ酸から合成されていて、配列(並び方)によって種類が決まります。働きはその種類ごとによって違います。タンパク質の種類は、人間の体内だけで10万種類以上もあると言われています。カラダって本当にすごいですよね。

まとめ

1.神経原線維変化はリン酸化されたタウタンパクが細胞内に蓄積したもの
2.タウタンパクは細胞内にある微小管結合タンパク質の1種
3.タウタンパクが過剰にリン酸化されると細胞内にタウタンパクが結合し細胞の機能が低下する

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アミロイドカスケード仮説に関しては、これで終了です!
お疲れ様でしたーーー。いかがだったでしょうか?

改めて①の図を見てみましょう。

どうでしょうか?

最初に見たときに

こんな感じだった人が

 

 

こんな感じになってくれたら嬉しいです!

アミロイドカスケード仮説はこれで終了ですが、アルツハイマー型認知症の病理学的特徴を理解するのに、もうひとつ大切なアセチルコリンについて次回説明をします。

補足
アルツハイマー型認知症発症の仮説には、アミロイドカスケード仮説のほかに、アセチルコリン系の障害が原因とされる「コリン仮説」や、タウタンパクが原因とされる「タウ仮説」などがあります。

どの仮説が正しいのか、もしかしたらどの仮説も違う可能性もありますしね。これからの研究を待ちたいです。

◆参考文献はこちらの記事に載せています


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