利用者は専門職の承認欲求を満たすために存在するのではない

来月のトークセミナーでは、グレーゾーンケアがテーマです。

【ご案内】トークセミナーの募集を開始します

厳しいことを言ってしまわないように、穏やかに話したいなとは思っていますが、熱くなってしまいそうな予感が・・・笑

さゆりさんがヒートアップするのは確実です。(言い切れる!笑)だからこそ、わたしはナビゲーターとして、一緒に舞い上がってしまわないようにしないとですね。

では、ここからが今日の本題です。

 

「私はグレーゾーンのケアはしていません」
「うちの事業所はクリーンなケアしかしません」

って人もいるでしょう

 

でも、グレーゾーンのケアは日々どこかで必ず行われています。

社会のなかで、専門職からグレーゾーンのケアを受けて自尊心をボロボロにされている認知症の人がいるという問題を、なんとかしていかなければならないと思いませんか?

たまに報道される専門職による認知症の人への虐待は、氷山の一角でしかないことは誰でも知っています。口にしないだけ。

悪意のある暴力だけが虐待ではない。

 

 

虐待が起こる背景は山ほどあるのだけど、忘れてはいけないのが

患者・利用者は

自分たちの承認欲求を満たすために存在するのではない

ということです。

 

 

グレーゾーンのケアを例にしましょう。

認知症ケアは傷の処置などと違い、ケアの結果が見えにくいという特徴があります。

一生懸命ケアをしているうちに、自分のケアに応えてほしい、と言う気持ちが起こるのはわかります。

 

ただこれが

利用者が自分のケアに応えてくれる(自分が望んだ行動をしてくれる)
=自分のケアが報われる、周りから認めてもらえる

というような方程式にハマってしまうと、どんどん負のスパイラルから抜け出せなくなります

このスパイラルに陥った人は、自分の承認欲求を満たすために認知症の人に無理強いをしてでも、自分がいいと思うケアをやろうとします。

 

無理にお風呂に入れる

無理に食事を食べさせる

無理にレクレーションに参加される

「お風呂に入れることができた(私がすごい)

「食事を全量摂取した(私の介助が上手い)

「レクレーションに参加した(私のおかげ)

こういうパターン。

 

認知症の人の行動に、必要以上に自分をくっつけてしまう。

上手くいかないと自分の欲求が満たされないので、欲求不満になり認知症の人を悪く言う。

お互い不幸です。

 

残念ながら、このスパイラルにハマっているような人は私のブログを読みにはこないので、直接この言葉を届けることはできません。

このブログは読者は多くないですが、施設長や管理者、フロアリーダーなど上の立場の人や、将来的に影響力をもつだろう人が読んでくれています。(これは誇りです!)

この負のスパイラルは、事業所全体の質に影響します。結果としてスタッフの定着率や利益などの部分にも影響します。

「人がいないから仕方がない」
「言っても理解してもらえない」
「教育に時間をかける余裕がない」
と諦めていたら生き残れません。

 

いつも言っていますが、私はグレーゾーンのケアを減らすことが「認知症ケアの質を上げる」ことだと思っています。

トークセミナーでは参加される方と一緒に、グレーゾーンというタブーに切り込んで、新しい時代の認知症ケアについて考えていきたいと思っています。

ご興味のある方、是非是ご参加下さい。


7月19日(金)

19:00〜22:00(懇親会あり)