時間内にお答えできなかったセミナーでのご質問②低血圧と入浴

こんにちは。ブルーベル代表 市村幸美です。

6月23日の『介護職に必要な高齢者の方への医療知識セミナー』で、質問用紙に質問を書いてくださったのに時間内にお答えすることができなかったご質問がいくつかありました。前の記事では排尿障害・排便コントロールについてお答えしました。

今回は低血圧の人の入浴についてです。

低血圧の場合の入浴について

入浴の時の高血圧の説明はよく分かりました。

低血圧の人は、BP100/↑を基準にしていますが、ベッドに臥床させてやっとBP100/↑して入れるのはけっこうリスクが高いと思いますが・・・。

注意点を教えて下さい。

ご質問ありがとうございます。

そうでしたね、低血圧のお話はしませんでしたね。

いつも低めなのか、いつもは低くないのに今日だけ低いのかによって考えられることは変わってきます。

例えば、普段は最高血圧が120/ 程度の人が90/ くらいだと、いつもと違うということになりますので、身体のなかで何らかの異常が起こっている可能性があります。

セミナーでお話したように、血圧は心臓や血管系の指標となるもので、心臓だけでなく腎臓や自律神経の影響を受けます。

このようないつもより低い場合は、わかりやすいところで言うと、脱水で血液の水分量が不足していることなどが考えられますので、入浴の判断よりも先にすべきことがあります。

で、おそらく多いのはいつも低めの場合の対応だと思います。

ご質問にもあったように、現場では血圧が低い場合は臥床させる、または臥床させて下肢を挙上させて、血圧が上がってから入浴をする、という対応をしているところが多いですよね。

おそらくご質問してくださった方も疑問を感じているのだと思いますが、正直なところ私はこの対応については無駄だと思っています(笑)

臥床させて(下肢を挙上して)血圧が上がって100/以上になったとしても、座位(立位)になれば、また100/以下になる場合がほとんどです。

臥床させて、とりあえず数値だけ入浴許可範囲にもってくるというのは専門性とは言えないかなと思います。

低血圧の場合に確認したいこと

①本人の感覚

高血圧の場合と同じで、本人が血圧が低いことで体調の変化を感じているのか、本人が入浴したいのか、などを確認する。まずはここが1番大切です。

②薬剤の影響はないか

低血圧なのに降圧剤を服用している、という人がたまにいます。また下肢のむくみなどを軽減するために利尿剤を服用している人もいますので、何の薬を飲んでいるのか確認しましょう。疑問に思う薬があったら、かかりつけ医に相談してみましょう。

③入浴前と入浴後の血圧を測る

ここもセミナーでお話した高血圧の人の入浴と同じで、前後の血圧を測りデータを取ってみるとよいと思います。

入浴前の数値ばかり気にするのではなく、入浴前から入浴後までの一連の流れで全身状態を観察していくことが大切だと思います。

低血圧については、愛知県薬剤師会のこちらの記事などもわかりやすいです。
https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3518.html

とはいえ、現場ではマニュアルに従うのが基本なので、無駄だとわかっていても数値だけ100/以上にしなくてはならないという現場も少なくないです。今後の課題ですね。

ご質問頂き、ありがとうございました。

私の回答が正解なわけではありませんので、これをきっかけにご自身で調べて頂いたり、一緒に働く看護師に聞いたりしながら、知識を深めていって下さいね。


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