【セミナーでのご質問】血圧低下時の下肢挙上について

こんにちは、ブルーベル代表 市村幸美です。

介護職に必要な高齢者の方への基本的な医療知識セミナーで頂いた質問の中から、ブログ記事でも取り上げたいなと思ったものをいくつかご紹介していきたいと思います。私個人の見解になりますので、その旨をご了承ください。

今日取り上げるご質問はこちらです。

心疾患のある人が急な低血圧になった場合、急に下肢挙上してしまうと、急激に戻してしまうので以前救急隊員の方にやめたほうがいいと(下肢挙上せずにフラット対応)言われましたが、他になにか気をつけたほうがいいですか?

ご質問ありがとうございます!

血圧低下時の下肢挙上と心臓

ポイント
低血圧時の一時的な下肢挙上は有効ですが、心臓のポンプ機能が低下している人にとっては心臓への負担も大きいので、そこを考えて対応しておくことが必要です。
 

もう少し詳しく説明します。

①低血圧時の下肢挙上について
②心疾患がある場合
に分けて考えていこうと思います。

血圧低下時の下肢挙上

現場ではよく

血圧が低い下肢挙上という対応がとられますが、本来は低血圧の一時的な対応といえます。例えば、透析中の急な血圧低下や、血圧低下によるショック(意識障害など)ですかね。

下肢を挙上することで、重力の力を借りて血液を心臓に戻すということで皆さんやっていると思いますが、血液が心臓に戻るとどうして血圧が上がるんでしょうか?

 

 

ある程度、生理学がわかっている人ならばわかるかと思いますが、下肢の静脈の血液を重力によって戻すとなると、心臓の右心房に戻ってくることになります。

心臓には、心臓に戻ってきた量と同じ量を送り出すという性質があるので、心拍出量が増え、抹消血管抵抗が強くなり、血圧が上昇するということになります。

心疾患がある場合

でも、心不全などで心臓のポンプ機能(心臓から血液を送り出す機能)が低下している人にとっては、急に心臓に戻ってくる血液が増えることは負担となりますよね。

このご質問の対象となった利用者さんが具体的にどんな心疾患だったかによっても変わると思いますが、おそらく救急隊員の方は、このようなことを言いたかったのではないかなーと思います。(違うかもしれませんが 笑)

 

低血圧→下肢挙上でとりあえず数値だけを正常値に持ってこようとする、というのは安易かなーと思います。

背景となっている低血圧の要因、その方の平均値と自覚症状、他の疾患との兼ね合いなどをみながら生活を整えていくことが専門職の役割なのではないでしょうか?

参考になると嬉しいです。
ご質問ありがとうございました!

 

では、またー

 


現在募集中のメニュー

介護職のためのオンライン生理学講座

今後のセミナー予定

生理学講座2日間集中コース

【東京会場】
10月17日(木)10:00〜15:30
10月18日(金)10:00〜14:30(14:30〜15:30 懇親会)

【大阪会場】
11月 7日(木)10:00〜15:30
11月 8日(金)10:00〜14:30(14:30〜15:30 懇親会)

※募集は8月下旬(または9月上旬)からになります。