【セミナーでのご質問】浮腫のケアについて

こんにちは、ブルーベル代表 市村幸美です。

介護職に必要な高齢者の方への基本的な医療知識セミナーで頂いた質問の中から、ブログ記事でも取り上げたいなと思ったものをご紹介していくシリーズです。

今日取り上げるご質問はこちらです。

下肢に浮腫があり、浸出液が漏れている方がいます。
かかりつけ医より、朝・夕のパットの貼りかえを頼まれました。新しいガーゼに軟膏をつけて患部に当ててパットでくるむようにしています。かかりつけ医より何かあれば連絡くださいと言われましたが、日によって状態も変わり、患部皮膚周辺は赤黒い色になっており、とりあえずここままでいいのか、もっとみなければいけないところがあれば、教えて下さい。

ご質問ありがとうございます!

セミナーでもお答えしたように
・「何かあれば」とはどんな状態なのかかかりつけ医に具体的に聞く
ここが大前提だと思います。 

とくにこのご質問の対象となっている利用者さんは、浸出液が漏れるくらい下肢が浮腫んでいるということは、かなりからだの状態が悪いということが考えられます。

 

よくわからないものを

よくわからないままにしない

ここが自分たちが安心して仕事をする大切なポイントになると思っています。

 

ちなみに私は医者にめっちゃ聞いてました。

どうなったら報告をするのか?

数値はいくつまで様子をみていいのか?

どこまでは様子をみていいのか?

をできるだけ曖昧にせず具体的に指示をもらうようにしていました。

「医療の最終責任は医師」ということが頭にありますし、自信ないし。私がポンコツ看護師だったので、なんにも自分で判断できないってのもあったと思いますが(笑)

浮腫のメカニズム

話がそれてしまいましたが、ご質問に戻りこの記事では浮腫について説明しようかなと思います。

細かいところまで説明するとめっちゃ長くなるので、できるだけ簡単にまとめたいと思いますので、お付き合い下さい。

浮腫とは

まず、浮腫とは間質液に水分が増えた状態のことです。ちょうど、この写真がその説明をしているときですね。

間質液は、組織液とか細胞外液ともいわれて(まぎらわしいーー)、細胞の外側の体液のことです。

正常な場合、体液は次のような流れで体内を巡ります。

毛細血管から水分が滲み出る

間質液に流れる(物質のやり取り)

ほとんどは毛細血管に再吸収されるが
余分な水分はリンパ菅で回収される

最終的に静脈につながる

 

 

この循環によって、間質液は一定に保たれているのですが、なんらかの問題が起こると間質液の水分量が増え、浮腫がおこります。

どんなときに間質液が増えるのか?

塩分の取りすぎ

これは我々でもありますよね。血液中のナトリウム濃度が高くなると、血液中のナトリウム濃度をこれ以上あげないために水分を外に出さないようにします。血液量が多い状態が続く影響で間質液に流れる水分も多くなる、というのが大まかな流れです。

静脈やリンパ管の圧迫

ゴムのきつい靴下を履いたら足がパンパンになった、とかがこれにあたります。

筋ポンプ作用の低下

立ちっぱなし、座りっぱなし、とかも重力の関係やふくらはぎの筋ポンプ作用の低下でおこってきますが、ここもイメージがつきやすいかなと思います。

膠質浸透圧

「こうしつしんとうあつ」と読みます。

血液にはタンパク質が含まれていますが、そのタンパク質は水を引きつけておく力があります。栄養不良や肝疾患などで、血液中のタンパク質(とくにアルブミン)が減ってしまうと、水を引きつけておく力が少なくなるので、間質液に水が多くなります。

心臓のポンプ機能の低下

心不全などでポンプ機能が弱っている場合も、静脈のうっ血などがおこり間質液が増えることがあります。

 

浮腫を理解するには、血液の循環や血管やリンパのしくみ、タンパク質の代謝などの理解が必要になってきますが、気になるかたは調べてみてくださいね。

参考になると嬉しいです。
ご質問ありがとうございました!

長々と続いた質問コーナーですが、次でいよいよ最終回になります!

 

では、またー


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