【セミナーでのご質問】排泄パット内のブルー尿やオレンジ尿について

こんにちは、ブルーベル代表 市村幸美です。

介護職に必要な高齢者の方への基本的な医療知識セミナーで頂いた質問の中から、ブログ記事でも取り上げたいなと思ったものをご紹介していくシリーズです。私個人の見解になりますので、その旨をご了承ください。

今日取り上げるご質問はこちらです。

排泄パット内、ブルー尿やオレンジ尿などが出現しますが、薬とか内臓が関係していると聞きました。人それぞれでしょうが、1番気をつけて観察するポイントがあれば教えてほしいです。

ご質問ありがとうございます!

このご質問は排泄パット内ということですが、蓄尿バッグの場合も多いですよね。

先に結論からいうと

観察ポイント
・尿路感染症が起こっていないか観察をする
・服用している薬で尿が変色するようなものがないかを確認する(抗菌剤など)

できるケア
・便秘が原因であることがほとんどなので便秘へのケアを行う
・尿路感染症の予防(陰部を清潔に保つ、水分摂取など) 

ということになると思います。

少し難しいのですが、なぜ尿の色が青くなるのか?も付け加えますので、興味のある人は読んでみてください。

紫色蓄尿バッグ症候群(PUBS) 

最初にも書いたように、蓄尿バッグで色が変わるというのがよくみられ、紫色蓄尿バッグ症候群(PUBS) とよばれています。他にも、ブルーバック症候群とかパープルバック症候群とよばれることもあります。

メカニズムはオムツ内の変色も同じです。

原因

慢性の便秘の人、膀胱留置カテーテルが挿入されている人、寝たきりの人などに多いことがわかっています。

メカニズム

便秘によって腸内細菌が増殖します

②腸管内でトリプトファン(アミノ酸のひとつ)は,細菌によって有害なインドールという物質の変換され ます。

③そのインドールはそのまま吸収され肝臓で代謝されて、無害なインジカンという物質に変化します。

生理学講座を受けてくれた方は「すべての栄養素は小腸から吸収されて肝臓で代謝される」「肝臓は解毒作用がある」っていうあの話がここでもつながりますね。

④そのインジカンは尿中に排泄されるのですが、尿中の細菌によってインジゴブルーという青い色素インディルビンという赤い色素に分解されます。

この色素成分はプラスチックやポリマーに溶け込む性質を持っているので、バッグやカテーテルを変色させるということがわかっています。

※ブルー尿だけでなく、濃い紫やご質問にもあったようにオレンジっぽい色に変色することもあります。これは、この青い色素と赤い色素の比率で決まるようです。

※抗菌剤などでも尿の色が変化することもあります。

緊急性はあるのか?

介護職さんが気にあるのは、「すぐに医療機関を受診させてほうがいいのか?」ということでしょうか?

うーん、私の今までの経験からいうと、緊急性は高くない場合が多いと思います。とはいえ、見た目は派手ですので、ちょっと気になりますし、尿路感染の可能性もありますので、バイタルサインの経過を追いながら対応するという感じになるのではないでしょうか。

 

参考になると嬉しいです。
ご質問ありがとうございました!

 

では、またー


生理学講座2日間集中コース

【東京会場】
10月17日(木)・10月18日(金)満席
【大阪会場】
11月 7日(木)・11月 8日(金)残席3