【セミナーでのご質問】意識消失時の対応

こんにちは、ブルーベル代表 市村幸美です。

介護職に必要な高齢者の方への基本的な医療知識セミナーで頂いた質問の中から、ブログ記事でも取り上げたいなと思ったものをご紹介していくシリーズです。私個人の見解になりますので、その旨をご了承ください。

今日取り上げるご質問はこちらです。

意識がなくなってしまった場合の対応の仕方。

看護師が来るまでの間にどのような対応をしておけば良いのか。

ベッドに臥床させた場合、足を高くするなど

ご質問ありがとうございます!

 

意識消失については、こちらの記事でも触れています。

【セミナーでのご質問】意識消失時の救急搬送について

2019年8月17日

 

この記事にも書いたように意識がない場合は、そこが医療現場でない限り、基本的には救急車を手配することを私は勧めます。

 

そこを原則としたうえで、今日のご質問にお答えしていきますね。

おそらくこちらの質問は、何らかの原因で脳の血流量が一時的に低下することによって起こる一過性の意識障害をさしているのだと思います。

 

まず、意識がなくなった原因によって対応が変わってきます。

前の記事にも書いていますが

一時的な意識消失で考えられる原因は

・低血圧
・一過性脳虚血発作
・てんかん
・迷走神経反射
・低血糖
・不整脈によるもの

・・・などさまざまです。

 

看護師が来るまでの間にしておくこと

忘れてはいけないのが時間経過における観察です。

いつに意識がなくなったのか? どんな状況だったのか? など、とにかく時間(時刻)とそのときの状況をメモ書きでもいいので、必ず残しておいて下さい。

 

 

 

当然ですが、まずはバイタルサイン測定。

意識がないときはまず脈拍、呼吸、血圧ですね。ざっくりとした体温は触ればわかりますので、異常がなさそうならその後で大丈夫です。

ここで血圧が下がっていれば下肢挙上が一時的に効果があります

でも血圧が下がっていなければ、足を挙げる必要はありません。場合によっては前負荷(※)が大きくなり心臓に負担をかけてしまうことも考えられます。

前負荷がある一定を超えると、心臓の収縮力が変わり収縮力は低下しますが、短時間であれば効果があります。

補足
※前負荷とは
心臓に戻ってくる血液量のこと。心臓には戻ってきた血液に応じて送り出す血液量が変わるという法則があります。(スターリングの法則)

やや用語が難しいですが、こちらも読んでみてください。
前負荷 日本救急医学会・医学用語解説集

 

また窒息や誤嚥の予防も大切です。状況によっては顔を少し横に向けたりすることも必要だと思います。

もし痙攣をおこしているような場合であれば、気道確保や事故予防なども必要ですね。

 

何をするかも大切ですが、観察と記録がとても大切です。その後医療機関に受診した際にも重要になってきますので、忘れないでくださいね。

 

また、かかりつけ医に
・原因としてどんなことが考えられるのか
・介護現場でどのようなことに注意して観察すればよいのか
・どのような場合は様子をみてよいのか
・どのような場合は救急搬送なのか
・同じようなことが起こった場合どう対応すればよいのか
・・・など心配なことは全部具体的に確認してください。

 

 

利用者さんのためにも、自分たちが少しでも安心して仕事ができるように整えることに力を入れてほしいなと思います。

補足

ちなみに厚生労働省から出ている救急搬送に関するこちらも70ページくらいの長い資料ですが、一度目を通しておく必要はあるかと思います。

厚生労働省 ホームページ
救急搬送における重症度・緊急度判断基準作成委員会報告書

 

参考になると嬉しいです。
ご質問ありがとうございました!

では、またー