【セミナーでのご質問】ラップ療法について

こんにちは、ブルーベル代表 市村幸美です。

介護職に必要な高齢者の方への基本的な医療知識セミナーで頂いた質問の中から、ブログ記事でも取り上げたいなと思ったものをご紹介していくシリーズです。私個人の見解になりますので、その旨をご了承ください。

かなりの数の質問を頂きました。お答えする順番として、まずはセミナー中にお答えできなかったものから取り上げさせて頂きます。そのあとは、ご質問頂いた順番になります。

ちなみにこの順番の予定です。

1.ラップ療法について
2.意識消失時の対応
3.心気的な訴え?体調不良?
4.血圧測定に緊張してしまう利用者さんの対応
5.呼吸苦とSPO2
6.この場合も「一方化」で大丈夫?
7.下剤投与について(タイミング・飲ませる量)
8.アリセプト・リスパダールは続けたほうがいい?
9.救急搬送に必要な情報
10.MCIの場合でも病型はあらわれるのか?
11.耳のなかの掃除は耳鼻科?
12.「水分をもっと飲ませろ」という看護師の意図は?
13.透析を受けている人の対応
14.呼吸数を測るタイミング
15.義歯が無いほうが飲み込みやすい人について
16.家ではむせないのに施設ではむせる利用者への対応
17.時代遅れの看護師との連携
18.乾燥肌にワセリン、いいですか?
19.落薬を防ぐ工夫
20.水分摂取が少ないのに尿量が多い、回数が多いのはなぜ?
21.低血圧の方に気をつけること

よろしくお願いします。

では1回目の今日取り上げるご質問はこちらです。

褥瘡や傷などに軟膏を塗布した後に市販のラップで保護することは有効ですか?

有効である場合、正しい使い方などがあれば教えて頂きたいです。

ご質問ありがとうございます!

 

いわゆる「ラップ療法」と呼ばれるものですね。

このご質問だけはその場で答えることを控えさせて頂いたのですが、正解だったなと思います。

なぜかというと、かなり賛否両論だからです(笑)

 

 

ラップ療法が登場したとき、かなり騒がれたんですよね。(私は褥瘡に関してあまり興味がなかったので、詳しく調べませんでしたが)

実際、病院に勤めていたときは食品用ラップを使うとか考えられませんでしたし、介護現場でも私は食品用のラップを傷に貼るということはしたことがありませんでした。

正直、私は情報、経験、知識が不足しすぎていて肯定も否定もできません(笑)

 

ただ背景として、「傷を消毒して、ガーゼで保護して、傷を乾燥させる」という傷の手当から「傷は消毒せず、乾燥させない」という創傷ケアの大きな時代の変化があったのかなと思います。

昔は褥瘡には軟膏を塗ってガーゼを貼っていましたが、今はハイドロコロイド素材のものや、フィルム材などの創傷被覆材で保護していますよね。これを湿潤療法と呼んだりしています。

この湿潤療法が進むなかで、創傷被覆材のコストが高かったため、もっと安価で代わりになるものはないのか?と探した結果、行き着いたのが食品用のラップだったようです。

 

日本褥瘡学会の見解の一部引用します。

いわゆる「ラップ療法」に対する日本褥瘡学会理事会見解

いわゆる「ラップ療法」に対する日本褥瘡学会理事会見解の全文は以下のような短い ものです。すなわち、

褥瘡の治療にあたっては医療用として認可された創傷被覆材の使用が望ましい。非医療 用材料を用いた、いわゆる「ラップ療法」は医療用として認可された創傷被覆材の継続 使用が困難な在宅などの療養環境において使用することを考慮してもよい。ただし、褥 瘡の治療について十分な知識と経験を持った医師の責任のもとで、患者・家族に十分な 説明をして同意を得たうえで実施すべきである

全文はこちら

「ラップ療法〜日本褥瘡学会の見解」

非常にシンプルでわかりやすいですよね。やってはいけないとは言わないけどおすすめはしませんよ、というニュアンス。

 

こちらの記事もいろいろ書いてます。

傷口にラップっていいの?:朝日新聞デジタル(2018.8)

 

決してラップ療法は悪いものではないと思うのですが、エビデンスが不明確だったり倫理的な面で、やや批判的な記事が多い印象です。

介護現場で創傷被覆材が思うように使えず、ラップ療法が使えそうだと思う場合はやってみてもいいかもしれません。ですが、看護・介護職の判断ではなく、医師の指示のもとに行うことが大切だと思います。

正しいやり方に関しては、静岡大学保健センターのサイトが信憑性が高いと思いますので、参考にしてみて下さい。

傷の手当 湿潤療法ー静岡大学保健センター

 

湿潤療法のメカニズムも、この質問コーナーが終わったら生理学として取り上げたいと思っています。(覚えていたら・・・)

 

参考になると嬉しいです。
ご質問ありがとうございました!

では、またー

2 件のコメント

  • お師匠様

    いつもありがとうございます。

    質問項目を拝見して
    介護職がいかに医療知識を欲さざるを得ないかの
    証かなと感じます。

    日ごろ、現場で医療職(居宅療養管理を含む)
    とのかかわりをスムーズにすること
    に尽きるようにも感じます。

    お師匠様のこの演目もっとふやしてください。
    お願いします。

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