【セミナーでのご質問】下剤投与について(タイミング・飲ませる量)

こんにちは、ブルーベル代表 市村幸美です。

介護職に必要な高齢者の方への基本的な医療知識セミナーで頂いた質問の中から、ブログ記事でも取り上げたいなと思ったものをご紹介していくシリーズです。私個人の見解になりますので、その旨をご了承ください。

今日は同じテーマの質問でしたので、2つを同じ記事で取り上げます。

①便秘の症状があり、センノシド、酸化マグネシウムを内服している状況で、排便は出たらどのタイミングで内服を再開したらいいのか?

また排便が水様便が少量の場合、内服はどうしたら良いか

②排便の確認が3日取れない場合にラキソベロン20滴と指示があり服用しています。それでも出なく2日、3日と服用することがありますが、連日服用しても大丈夫なのでしょうか?

家族からは施設の判断で、と言われています。

ご質問ありがとうございます!

 

大腸の解剖生理とか、排便に関するメカニズムとかから書いたほうがいいのか迷いましたが、質問の答えに行き着くまでに時間がかかり過ぎると判断したので、やめます(笑)

 

まず先に、質問について答えてしまってから、補足をします。

医師の指示が最優先ということを原則として

①私は排便があったら再開します。(下剤が処方されている時点で自力で排便をすることが難しい人なんだと思うので。)

ただあまりに水様便だったり、腹痛を伴って本人が辛そうであれば少し落ち着くのを待って再開します。

水様便が少量づつしか出ない(出せない)人は、食事量が少ないか、腸の機能がすごく弱っていると推測できます。

本当は少し形のある便にしたほうがいいのでしょうが、うーん、、、難しいような感じがしますね。

医師に相談しながら、このまま様子を見ていくしかないような気がします。

②ラキソベロンを連日服用することは大丈夫です。この指示通りで本人が辛くなければ、構わないと思います。

ただこの場合も大腸の機能が弱っていることが予測されるので、便が出ていない3日間の間で大腸のなかで便が硬くなってしまったり、便の送り出しが弱く動きが滞ってしまうことも考えられるます。

ですので、「3日待って20滴」よりも「毎日10滴」とかのほうがスムーズかもしれません。医師に相談のうえ、本人が苦しくならないように調整してみるといいのではないでしょうか?

 

 

では、ここから補足です。

この2つのご質問に共通しているのが、下剤の調整を介護職(施設側)に任せてもらっているってことです。

介護職が判断していいのか?という質問もあったりしますが、医師の指示があれば問題ないと思います。(処方箋に「自己調節可」と入れてもらうのがベストです)

タイミングや量に関して、1回1回家族に電話で確認するというのも現実的じゃないですし、家族が「お任せします」というのならば問題ないです。

でも、任せてもらうのであれば、下剤の種類や薬の特徴とかは勉強したほうが安心です。

 

下剤の種類もいろいろありますが、ご質問にあがったものだと

センノシド(プルゼニド、アローゼンなど)

ラキソベロン(シンラック、ピコスルファートNaなど)

こちらは大腸の粘膜の刺激して蠕動運動を活発にするタイプですね。ざっくり言うと腸内細菌に反応して物質の変化を起こすことでこのような作用となります。

酸化マグネシウムは、便を柔らかくするタイプです。こちらもメカニズムをざっくり説明すると、酸化マグネシウムが腸管内の作用によって構造を変え、重炭酸塩になります。(酸化マグネシウムが塩類下剤とよばれるのはこのためです)。それにより腸管内の浸透圧が変化し水分が腸管内に引き寄せられることで便が柔らかくなります。

薬の作用機序などは薬剤師さんに相談すると色々教えてくれます。医師に相談するのはちょっとハードルが高いなーと感じるときは、薬剤師さんに聞いてみてはいかがでしょうか?

 

 

なんでもそうなのですが、排便はとくに個人差があります。

健常人の場合でも同じで、排尿に関して健常人では、さほど大きな差はありません。でも排便は、子供の頃から便秘で何日も出ない人もいますし、下痢気味で1日に何度も排便がある人もいます。

高齢者になると、セミナ一でも話したように般的には便秘に傾きがちです。

理由としては

・水分摂取が少なくなる

・食べる量が減る

・運動不足

といった生活に関わるものに加え

・蠕動運動が弱くなる

・体内に水分を蓄えておく力が弱くなる

・薬の影響

などのからだの部分も原因として考えられます。

ここを補うのが下剤です。

 

言うまでもなく、下剤に頼らず食事や運動、乳酸菌などをうまく取り入れながら、自然に排便ができればそれがベストですが、よほど排泄ケアに力を入れている施設でない限り、難しいと思います。

「下剤を飲ませればいい」というものではありませんが、本人の苦痛の緩和のために、うまく取り入れていくほうが現実的だと思います。

 

違う方向にいってしまいそうなので、このあたりで終わりにします。

 

参考になると嬉しいです。
ご質問ありがとうございました!

では、またー