認知症の人の頻尿を理解するための生理学

こんにちは ブルーベル代表 市村幸美です。

水曜日のインスタライブ、繋がってくれた皆さまありがとうございます!

 

寒い!寒ずぎるーーー!

全国的に寒いみたいですね。寒いの本当に苦手なのでできる限り外に出ないようにしている市村です。

さて、今日は

入浴拒否と同じくらい質問が多い

(名前)
何度もトイレに行きたいっていう人に、どう対応したらいいですか?

にお答えします。

前々回のインスタライブでもご質問がありましたのでね。

 

認知症の症状ではない

まず、ここはしっかりおさえておきたいのは、

頻尿は排尿障害であって、認知症の症状ではない

ということです

 

例えばだけど

自分がいきなり何度もトイレに行きたくなって

でもトイレに行っても排尿がほとんどなくて

・・・っていう状況になったら

泌尿器科行こう

って思いません?

 

精神症状だ

精神科に行こう

とは思わないはず(笑)

 

なのに

認知症の人が何度もトイレに行きたいっていうと

認知症の症状(精神症状)

とアセスメントされちゃうんですよね

 

 

精神症状なら

声かけで安心させる

とかそういう対応がメインになってくるだろうけど

 

頻尿は身体症状だから

声かけでどうにかなるものではない

 

声かけで褥瘡治せる?

治せないでしょ

それと同じ

治せない

 

ここで覚えておいて欲しいのは

何度もトイレに行きたがるのは

あなたのケア(声かけ)が悪いわけではない

ということ

 

「トイレに連れていってもすぐに忘れてしまうんです」

という表現をすることがありますが、それも変な話じゃないですか?

トイレに行きたいという感覚がなければ、そもそもトイレに行こうなんて思わないわけですから。

トイレに行くことを忘れる・・・ならまだわかります。

 

認知症の症状ではなく、排尿障害である

という視点でもう少し深めて行きます。

 

考えられる身体の変化

次は認知症と排尿障害の関係を考えていきましょう。

排尿のメカニズム

排尿のメカニズムは複雑です。

膀胱に尿を貯める機能(蓄尿)

尿意を感じて排出する機能(排出)

それに加えて適切な場所で排泄すること

衣類の着脱などの能力も必要です

 

 

排尿は膀胱や尿道の筋肉が収縮したり緩んだりして行われますが

その機能は脳から脊髄、膀胱を行き来する神経によって調整されています。

↑ ざっくりとした経路はこんな感じ

 

 

蓄尿時

蓄尿時は膀胱の筋肉が緩み、尿道の筋肉は収縮しています。この時は交感神経(下腹神経)が作用しています。

蓄尿のメカニズム

膀胱内に尿が溜まる

膀胱壁の進展刺激が骨盤神経(副交感神経)を上行する

大脳皮質の前頭葉に届き尿意を感じる

大脳皮質は脳幹橋部の排尿中枢を抑制

胸腰髄神経から下腹神経(交感神経)を経過して、膀胱の排尿筋を弛緩、内尿道括約筋を収縮させる

(同時に)仙髄の排尿中枢は陰部神経(体性神経)を通じて外尿道括約筋を随意的、または不随意的に収縮することにより膀胱に尿がたまる

排尿時

排尿時は膀胱の筋肉が収縮し、尿道の筋肉は弛緩します。排尿時は副交感神経(骨盤神経)が働きます。

排尿のメカニズム

排尿の準備が整う

脳幹(橋)の排尿中枢の抑制を解除

排尿を促進する刺激が脊髄を通り仙髄の排尿中枢に伝わる

骨盤神経(副交感神経)を経て膀胱括約筋を弛緩

同時に下腹神経(交感神経)の興奮が抑えられ、膀胱排尿筋の収縮と内尿道筋の弛緩が起こり、さらに陰部神経が抑えられて外尿道筋が弛緩し尿が排出される

難しい用語も多いですが

排尿って脳がコントロールしてるんだなー・・・

排尿のメカニズムって複雑なんだなー・・・っていうのは理解してもらえたかと思います。

 

排尿って脳がコントロールしてるんだなーってわかれば、そりゃあ認知症になったら排尿障害出るわーってなりますよね。

認知症の人の行動を理解したければ、体の仕組みを理解することは必須だと私は考えています。

下部尿路症状

膀胱に尿を貯める(蓄尿)、尿を排出する(排尿)、この機能がスムーズにいかなくなる症状を総括して下部尿路症状と言います。

下部尿路症状は、認知症がない人に比べて、認知症がある人の方が発症が多いそうです。

尿意切迫感・過活動膀胱

頻尿の原因のひとつに

尿意切迫感というものがあります

これは突然に我慢することかができない尿意が起こることです

女性に多くみられ、慢性の膀胱炎が隠れている場合もあるらしいです

 

また過活動膀胱とよばれる症状もあります。

正常な状態では

蓄尿時は尿を貯められるように膀胱の筋肉が緩み、排尿時には筋肉が収縮します。

過活動膀胱は少量の尿で過剰に膀胱が収縮する症状です

膀胱が「トイレに行きたい!」と言っているようなイメージです。過活動膀胱は脳や神経の病気も要因のひとつです。

間質性膀胱炎という病気もあります

一般的な膀胱炎は細菌が原因でおこる病気ですが、細菌感染が直接関係のない膀胱炎があります。

これを間質性膀胱炎といいます。

このタイプでは膀胱に原因不明の炎症がおこり、それによって頻尿や膀胱・尿道の違和感や痛みなどがでます。見過ごされていることも多いと指摘されています。

治療の結果が出ないケースが多い

調べるとわかるのですが、認知症の頻尿についてはどこの事業所でも悩んでいるにもかかわらず、研究論文などが少なく、いまだに原因が不明なことも多いようです。

内服治療も効果が出ないケースが多いのが現実なようで、私の経験もそのように感じます。

改善する可能性が全くないわけではありませんが、改善する(改善させる)ことを目標にするのは現実的ではないかもしれません。

来年発売される新刊には、もう少し詳しく書いていますので興味のある方はそちらもチェックしてもらえたら嬉しいです。

では、またー

【参考文献】
・須藤紀子:高齢者の排尿・排便障害、日本老年医学会雑誌、2012 年 49 巻 5 号 p. 582-585
・西村かおる:高齢女性の排尿障害のケア、日本老年医学会雑誌2008 年 45 巻 2 号 p. 138-140
・永坂和子、高齢者・認知症の人に多い排泄障害のタイプ分類とケアの留意点、認知症ケア、日総研出版、第21巻第3号 

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