認知症と統合失調症の違いとケアのポイント

こんにちは ブルーベル代表 市村幸美です。

22日は以前からお伝えしていたオンラインセミナーでした。

リアルタイムでつながって下さった皆様ありがとうございました!皆さんの笑顔やリアクションのおかげで楽しい時間を過ごすことができました。

考えてみたら自分で企画したセミナーは今年初でした…。。。

今年最初で最後のセミナーだったようです。

来年はもう少しセミナーやっていきましょうかね(笑)

さて

前々回のインストライブのとき、統合失調症のご質問が多かったんですよね。

ですので今日は認知症と統合失調症の違いについて書いてみようかなーと思います。

 

認知症と統合失調症は全く違う病気なのですが

症状が似ているため混乱することが多いような気がします。

高齢者になると統合失調症の症状も少し穏やかになることが多いので、過度に怖がる必要はないのですが

病態を理解していないと思いがけない症状につながったり、統合失調症の人を傷つけてしまうこともあります。

認知症と統合失調症の関係については、なかなかわかりやすい文献がありません。

そのため今日のブログは、精神科勤務の経験から私が考える認知症との違いや対応についてお伝えしたいなと思います。

個人的な意見であることをご承知ください。

 

私ももう精神科を離れて10年以上経つので、わかったような事は言えないのですが

それでも約10年間、精神科看護に携わったので少しはお話しできるかなと思います。

実は私はもともと認知症ケアがやりたかったわけではなく、統合失調症の慢性期の看護に興味がありました

思いがけず認知症治療病棟に配属になったことで、今の私があるので結果オーライですね

 

統合失調症とは

さて、まず統合失調症とはどんな病気なのか?ですが

統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患です。

私が准看護師になったときは「精神分裂病」と呼ばれていましたが、2002年に「統合失調症」へと名称変更されました。

統合失調症と聞くと妄想などの激しい症状を思い浮かべる方が多いかもしれませんが

その症状は陽性症状とよばれる症状で、陰性症状もよくみられます。

陽性症状:妄想や幻覚など

陰性症状:意欲低下や自閉、感情鈍麻など

陽性症状のほうが大変なイメージをもつかもしれませんが、実際は陰性症状の看護のほうがずっと難しかったです。。。

そしてここもポイントで

認知機能障害も症状としてみられます

統合失調症と認知症の違い

ご存知の通り認知症は脳の器質的な異常が原因で引き起こされる病気です。

一方で統合失調症は器質的な以上はなく神経伝達物質の分泌の異常が原因と考えられている病気です。

神経伝達物質にはたくさんの種類がありますがその中でドパミンが特に影響しているといわれています。

まず根本的な病態が違うことをおさえておきましょう。

定義が違う

認知症の定義に「正常に社会生活を送っていた人」というフレーズがあります。

統合失調症の人は若年期に発症していることが多く、認知症のように「正常に社会生活を送っていた人」という定義から外れることが多いです。

そのため高齢者になるまでの生活背景が全く違います。

 

↓ ここからは私の経験から感じた個人的見解です

妄想の違い

アルツハイマー型認知症の人の妄想が身近な人に出るのに対し

統合失調症の場合は不特定多数の人間や自分とは直接関わりのない人に対して出るのが特徴です

例えば、アルツハイマー型認知症の場合は

うちの嫁が私の財布からお金盗むのよーー

みたいなのが多いんですが

統合失調症の場合は

アメリカのCIAに狙われている

とか言ったりします

妄想のスケールが結構違いますよね

ちなみにレビー小体型認知症の場合は、幻視から妄想に発展することが多いです。

症状の変動の違い

統合失調症では症状の波が強いケースがあります。

認知症でもレビー小体型認知症の場合に症状の変動がありますが、どちらかというと意識の変動(覚醒リズム)です。

統合失調症の場合は、精神症状の波があります。

精神科業界(?)では、「春になると症状が悪くなる」と言われるのですが、実際、そうでした。

春は「加剤(薬の量を増やす)」が多かったですね。

統合失調症は認知症と比べて症状の波が激しく、症状が強くなると薬剤コントロールをしなければいけないほど症状が変化するのが特徴です。

ケアのポイント

違う病気であることを認識しておく

統合失調症も認知症の認知機能障害がありますが、先に書いたように病態は違います。

過度に意識する必要はありませんし、怖がる必要もありませんが、違う病気であるということを頭に入れながらケアをすることが大切だと考えます。

妄想は幻覚は否定も肯定もしない

これはアルツハイマー型認知症の場合でも同じですが、妄想や幻覚に対して否定も肯定もしないというのが基本のスタンスになります。

認知症の場合の妄想は過去の記憶やプライド、その時の寂しさなどの感情が反映されることがあるので、感情に寄り添うことが落ち着く場合がありますが

統合失調症の場合は、妄想の質がアルツハイマー型認知症とは違うため、認知症の人と同じように関わると思いがけず自分に対して攻撃が向いたりすることがあります。

アルツハイマー型認知症の人よりも心に入り込まれることを恐れる傾向があるように私は感じていました。

適度な距離感を保つことが必要だと思います。

状態が悪くなったとき

妄想や幻覚、攻撃性などが強くなった場合はできるだけ早く薬剤調整をしてもらうことが良いと思います。

統合失調症でもカウンセリングや認知行動療法などが行われますが、やはりメインは薬剤療法になります。

調子が悪くなったら非薬物療法でなんとかしようと頑張るのではなく、早めにかかりつけ医に相談することが良いと思います。

薬剤調整のタイミングが遅れると精神症状が一気に悪くなってしまうこともあります。

統合失調症の場合は「薬に頼らず関わりで症状を落ち着かせよう」というのは、難しいと思ったほうがいいでしょう。

こんなに長い文章を書くつもりではなかったのですが、いろいろ付け足していたら長くなってしまいました。

ただ介護現場で働く介護職さんは統合失調症についてあまり学ぶ機会がないと思いますので、参考になったらうれしいです!

統合失調症の人に対して皆さんがどのようなイメージを持っているか分かりませんが、私はとても好きでした。なかなか介入ができず悩んだことも多かったですが統合失調症の患者さんから学んだことはたくさんあります。

優しい人も多かったですし、ピュアな人もたくさんいました。

認知症ケアでも同じですが、一番辛い思いをしているのは本人だということを忘れずに関わっていけたらいいのかなとに思います。

いろいろ書きましたが、大切なのは認知症ケアと同じで

本人がどうして欲しいのか

何が本人の幸せなのか

ここだと思います

では、またー


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2 件のコメント

  • 認知症デイサービスで働いていた頃に、若年性認知症で統合失調症の方がいらっしゃいました。
    妄想での気分の起伏が激しく、お迎えに行ったらかなり激昂されていて、人の多いところで思いっきりビンタされた事がありました。
    今回の記事はとても学びが深かったです。
    ありがとうございました。

  • お師匠様

    いつもお世話になります。

    精神疾患の方と関わってようやく1年。

    介護の現場では認知症に関心があっても
    統合失調症には拒否反応があったことが
    印象的でした。

    病態が違うことを認識すれば、同じ人として
    のお付き合いだとわかります。

    支援者(経営者含む)に大切なのは、

    ”本人がどうして欲しいのか”

    ”何が本人の幸せなのか”

    正に上記のことです。

    ありがとうございます。

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