こんにちは ブルーベル代表 市村幸美です
昨日は猛吹雪で、ホワイトアウトという現象が。。。怖かったです。
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今日は改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とMMSE-J(ミニメンタルステート検査・日本版)について、整理していこうと思います
注) この記事は実際に検査を施行する人向けの内容ではありません。実際に検査を行う立場にある方は細かい注意点などもありますので専門の書籍等で確認をお願いします。
※以下、HDS-RとMMSE-Jと略します
認知症の検査と言う事は皆さん知っていると思いますが、改めて何を見ているのか、何が違うのか、等について書いていこうと思います

どちらもスクリーニング検査
HDS-RもMMSE-Jも認知症のスクリーニングを目的として作成された検査です
クリーニングとは、ふるいにかけることなどを意味しますが、医学の分野ではある疾患の疑いがある対象者を集団のなかから検出するという用語になります
(新生児全員を対象として血液で代謝異常疾患などを検索する新生児マススクリーニング検査など)
なのでこの検査だけで確定診断をすることはできません
あくまで、可能性がある人を選別する検査だということを確認しておきましょう

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
誰もが知っている、いわゆる「長谷川式」です
昨年お亡くなりになった長谷川和夫先生が作成された検査になります
HDS-Rの項目
HDS-Rは次の9項目です
・年齢
・時間の見当識
・場所の見当識
・即時再生
・計算
・遅延再生
・逆唱
・物品再生
・言葉の流暢性
詳しくは後ほど説明しますね
MMSE-J(ミニメンタルステート検査・日本版)
MMSEは、認知症の疑いのある人のために開発した知能検査で2006年に日本語版が作成 MMSE-J
MMSE-Jは次の11項目です
MMSE-Jの項目
・時間の見当識
・場所の見当識
・即時再生
・計算
・遅延再生
・物品呼称
・文の復唱
・口頭指示
・書字指示
・自発書字
・図形模写
HDS-RとMMSE-Jの共通項目
時間の見当識
「今日は何年の何月何日ですか? 何曜日ですか?」
場所の見当識
「私たちが今いるところはどこですか?」
即時再生
「これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとの設問でまた聞きますのでよく覚えておいてください。」
計算
「100から7を順番に引いてください」

遅延再生
「先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください」
HDS-Rのみ
次にHDS-Rのみにある項目について確認します
・年齢
「お歳はいくつですか?」

・数字の逆唱
「これから言う数字を逆から言ってください」
「6-8-2」「3-5-2-9」
・物品再生
「これから5つの品物を見せます、それを隠しますので何があったか言ってください」
・言葉の流暢性
「知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください」
MMSEのみ
次にMMSE-Jのみにある項目について確認します
・物品呼称
時計(又は鍵)を見せながら 「これは何ですか?」
鉛筆を見せながら 「これは何ですか?」

・文の復唱
「今から私がいう文を覚えてくり返しいってください。 『みんなで力をあわせて綱を引きます』」
・口頭指示
「今から私がいう通りにしてください。 右手にこの紙を持ってください。それを半分に折りたたんでください。 そして私にください」
・書字指示
「この文を読んで、この通りにしてください」
・自発書字
「何か文章を書いてください。どんな文章でもかまいません」

・図形模写
「この図形を正確にそのまま書き写してください」
何点以下だと認知症を疑う?
HDS-Rは20点が目安
HDS-Rは30点満点中20点以下だと認知症の疑いが高いと判定されます。
MMSE-Jは23点が目安
MMSE-Jは30点満点中23点以下だと認知症の疑いが高いと判定されます。
注)上記の点数は、一般的なものになります。
認知症のテキストなどでは、「カットオフ値」という用語が使われます。カットオフ値とは検査値による陽性か陰性かを区別する基準値のことをいいます。
HDS-RやMMSE-Jでは、認知機能の障害の程度が加齢によるものか病気によるものかを判断する際の基準となる値をさします。
HDS-R:カットオフ値20/21
MMSE:カットオフ値 23/24
それぞれの特徴
HDS-Rは口頭のみの検査です。HDS-Rは記憶に関係した項目が多いため、初期では記憶障害が目立たないレビー小体型認知症や、前頭側頭型認知症では、認知症であっても良い点が出る場合があるようです。
MMSE-Jは文章の記述や図形の模写など「書く作業」があります。このため、麻痺など上肢の運動障害がある人では行えない項目があります。
実際は共通項目も多いため、同時に施行されることもあるようです
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ここまでで結構なボリュームになってしまったので、今日はここまでにしますね
冒頭にも書きましたが、あくまで「この検査はこういうものですよ」というのをご紹介しているだけで、実際に検査をする人向けには書いていません。
長谷川式スケールはやろうと思えば誰でもやれる検査ではありますが、経験上きちんとトレーニングを積んだ人がやるのが好ましい検査だと思っています。
(准看護師を取ったばかりの20歳の頃、 その病院の方針で看護師がHDS-Rをとっていました。認知症のことを何も知らない状態でやっていたので、不正確な部分や患者さんに不快な思いをさせたりしたことがあったと思います。ととても反省しています)
次の記事では、項目からわかることや、看護師や介護職がどのように活用ができるのかなどについて考えていきたいと思います
では、またーーー
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