こんにちは ブルーベル代表 市村幸美です
以前、「アルツハイマー型認知症の病態を理解する」と「レビー小体型認知症の病態を理解する」という、超大作(?)を書きました。
血管性認知症と前頭側頭型認知症については、私自身が勉強不足でまとめられなかったのですがやっと書けそうな感じになりました。というか、3年経ってました・・・。
それぞれ何記事くらいになるか分かりませんが、しばらくはこの内容でいくと思いますので、よろしくお願いいたします。
ちなみにアルツハイマー型認知症は8記事、レビー小体型認知症は5記事でした
まずは前頭側頭型認知症からいきますね。
前頭側頭葉変性症(FTLD)とは
まず整理しておきたいのは、前頭側頭型認知症は前頭側頭葉変性症のひとつということです
前頭側頭葉変性症とは前頭葉と側頭葉を中心とする神経細胞の脱落により、行動障害、精神症状、言語障害などを特徴とする疾患の総称です。
前頭側頭型認知症は概念、名称、分類には変遷があり、以前は違う用語が使われていたこともありますが、現在は前頭側頭葉変性症を3つのタイプにわけています。
一般的に「前頭側頭型認知症」だと認識されているのは、行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)のことです。
何記事かに分けてそれぞれ詳しく説明していきますが、今日はこの3つのタイプについて大まかに区別していきたいと思います。
行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)
行動障害型前頭側頭型認知症は、その名の通り行動症状が強いのが特徴です。

一般的に前頭側頭型認知症と呼ばれているのがこのタイプですね。
意味性認知症(SD)
言葉の意味がわからなくなる認知症です。

進行性非流暢性失語(PNFA)
言葉の流暢さが障害される認知症です。

前頭側頭葉変性症の原因
「タウ蛋白」「TDP-43」などの異常なタンパク質が関与していると考えられているそうです。まだまだ未解明な部分が多い認知症です。
「タウ蛋白」については、嗜銀顆粒性認知症とはの記事を参考にして下さい。

「TDP-43 」は細胞核にあるタンパク質で、このタンパク質の蓄積が前頭側頭葉変性症の他にも筋萎縮性側索硬化症(ALS)とも関係があることがわかってきているようです。
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今回はここまでにします。
次回は私たちが前頭側頭型認知症として認識している行動障害型前頭側頭型認知症について詳しく見ていきます。
では、またーーー
【参考文献】
・祖父江 元、池田 学、中島 健二監修:前頭側頭葉変性症の療養の手引き、平成 28 年度厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業) 「神経変性疾患領域における基盤的調査研究」班
・池田学:『前頭側頭葉変性症の臨床』老年期認知症研究会誌、vol19 No5 2012
・認知症の医療・介護に関わる専門職のための 「前頭側頭型認知症&意味性認知症」こんなときどうする! 発行 大阪市福祉局高齢者施策部高齢福祉課