前頭側頭葉変性症の病態を理解する②行動障害型前頭側頭型認知症(1)

こんにちは ブルーベル代表 市村幸美です

昨日は春分の日だというのに、雪が降ってとっても寒かった函館です。

さて

前回は前頭側頭葉変性症の大まかな分類について説明しました。

今回はそのなかで1番多い行動障害型前頭側頭型認知症について説明しますね。

行動障害型前頭側頭型認知症とは

行動障害型前頭側頭型認知症は、前頭連合野の萎縮を主体とするタイプです。

前頭連合野とは?

前頭連合野は、脳内のリーダーのなかのリーダーという感じ。

大脳皮質の4つのエリアのなかで前頭葉がリーダーなのですが、その前頭葉のなかのリーダーが前頭連合野です。

脳は各エリアにおいて様々な役割がありますが、最終的にその情報を統合して決断を下すのが前頭連合野です。

前頭連合野の役割は?

前頭連合野はヒトの大脳の約30%を占めるんだそうですよ。幅利かせてますよね(笑)

判断、思考、計画、企画、想像、注意、抑制、コミニケーション

などに関わります。

いわゆる高次機能と呼ばれるものですね。

ちなみにアルツハイマー型認知症では、前頭葉そのものの萎縮は遅いですが、前頭連合野の萎縮は比較的早期から起こっているようです。

この機能は前頭連合野だけが独自で行っているわけではなく、側頭連合野、頭頂連合野からの情報をまとめて行っています。(「連合野」は、そのエリアのリーダーみたいな役割をしている場所です。)

前頭連合野が障害されると

行動障害型前頭側頭型認知症では、側頭葉や頭頂葉が早期から萎縮するわけではないのですが、 前頭連合野の障害によって連携がうまくいかないことによって、さまざまな症状に繋がっていきます。
行動障害型前頭側頭型認知症の病態はこんな感じです。
ここがわかると、次回お伝えする症状がなぜ起こるのかが分かりやすいかなと思います。
次回は行動障害型前頭側頭型認知症の症状の特徴についてまとめますね。
では、またーーー
【参考文献】
・祖父江 元、池田 学、中島 健二監修:前頭側頭葉変性症の療養の手引き、平成 28 年度厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業) 「神経変性疾患領域における基盤的調査研究」班
・池田学:『前頭側頭葉変性症の臨床』老年期認知症研究会誌、vol19  No5  2012
・認知症の医療・介護に関わる専門職のための 「前頭側頭型認知症&意味性認知症」こんなときどうする! 発行 大阪市福祉局高齢者施策部高齢福祉課