前頭側頭型認知症の特徴・症状・経過

前頭側頭型認知症とは?

前頭側頭型認知症は、タウタンパクという異常なたんぱく質の蓄積によって脳の萎縮が起こるタイプの認知症です。認知症の3〜5%程度(書籍によって10%と書いているものもあります)がこのタイプの認知症と言われています。

前頭側頭型認知症の代表的な症状

前頭側頭型認知症の主な症状の特徴は、脱抑制や反社会性などの性格変化、行動障害、言語障害です。記憶障害は初期では目立たないといわれています。

脱抑制、反社会的行動

ルールを守るといった社会性や担っている前頭葉が萎縮するために、いわゆる「反社会性」と呼ばれる行動が目立つのが特徴です。「我が道を行く行動」と表現されるように、本能のおもむくまま行動します。たとえば、レクレーションをしていても、突然立ち上がって部屋へ戻っていったりします。また抑制が効かないため衝動的に暴力行為を起こすこともあります。このような行動をとっても全く罪の意識がないことが特徴です。

常同行動

机を叩き続けたり、同じ字を書き続けたりするなど行動が目立ちます。また周徊と呼ばれる毎日同じ時間に同じ道を歩き続ける行為も見られます。アルツハイマー型認知症と違い、迷子にならず家に戻ってこれるのがこのタイプの認知症の特徴です。

意欲低下、無関心

自分から行動を起こすことや、話すことが減ってきます。自分自身のことや周囲に対して関心が減り、身だしなみを気にしなくなったり、周囲に気配りができなくなったりします。

食行動の変化

食べ物へのこだわりが強くなり、特に甘いものを好む傾向にあるようです。決まった食品を食べ続けることもあります。

前頭側頭型認知症のケアのポイント

前頭側頭型認知症は他の認知症と比較して行動症状が出やすく、人格の変化が大きいためケアが非常に難しいと言われています。

環境を整える

静かで刺激の少ない環境が良いとされています。ハード面だけでなく、人的環境も重要です。このタイプの認知症は対応するスタッフを固定しマンツーマン的な対応が良いとされています。

病気への理解

病気の特徴から、専門職ですら「わがままなで大変な人」とネガティブな感情を抱いてしまう場合も少なくありません。しかし、そのような行動は病気がさせていることだということを特に専門職は理解しておかなければ平等な介護ができなくなってしまいます。

経過・予後

一般的には、性格の変化や脱抑制などから始まり、徐々に認知機能の障害が進んでいくといわれています。アルツハイマー型認知症と同様に緩やかに進行していきます。

まとめ

このタイプの認知症は他の認知症と比較すると症例も少なく、まだまだ手探りでケアを進めているのが現状です。

 

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