アルツハイマー型認知症の物盗られ妄想が病初期に多い理由

こんにちは ブルーベル代表 市村幸美です。

大したことは書いていないのですが、サブブログとしてアメーバブログをゆるっと再開しました。

函館は先週から雪が降りまくっていて、雪かきで背中がバキバキです。。。

車の運転も怖いし、毎日滑って転んじゃうし、困ってしまいます。。

さて、今日は

アルツハイマー型認知症の物盗られ妄想が

なぜ初期に多いのか?

について書いていこうと思います。

アルツハイマー型認知症では行動・心理症状(BPSD)のひとつである妄想が初期では多く見られます。ある研究では約30%の人に妄想がみられるという結果になっています。

妄想のなかでも「物盗られ妄想」はアルツハイマー型認知症の代表的な症状で、 私もよくそのような訴えをする患者さんと関わったことがありますし、このブログを読んでくださっている方も1度は経験したことがあるのではないでしょうか。

物取られ妄想は、認知機能、脳の機能障害、感覚器などの身体的要因、精神状態、環境要因、介護者との関係、元々の性格など、複雑に絡み合っています。

物盗られ妄想の要因では認知機能の低下がありますが

同時にある程度の認知機能が残っているということも必要だったりします。

例えば、以前に関わった事例で「ヘルパーがお金を盗んだ!」という妄想を持っていた人がいました。

この妄想を持つには

・自分がお金を管理をしている
・ヘルパーが家に来ている
・財布にどのぐらいのお金があったかを覚えている

などの認識が必要になります。

そして、このこと(妄想の内容)を人に伝えることができなければなりません。

言語表出の機能が必要です。

また、アルツハイマー型認知症の人の妄想ってストーリーがしっかりしています。これもある程度複雑なことを頭の中で展開しているってことになります。

認知機能が進行してくると被害妄想が弱くなってくるのは、これらの機能が低下してくるからです。

頭の中でストーリー展開ができなくなる

言葉で伝えられなくなる

自分の身に起こっていることを認識できなくなる

このような状態になってくると、被害妄想の条件が整わなくなりますね。

この記事では詳しく書きませんが、物盗られ妄想が出現する人には脳の機能障害も関係していることがわかっています。
(前頭葉のある部位の代謝が悪い人は被害妄想が多い傾向にある・・・など)

本人の性格や介護者との関係性だけが原因ではありません。

私の感覚としては、物盗られ妄想を含めた被害妄想って一度妄想が固定化してしまうと、それを崩すことってほぼ不可能だと感じています。

「病初期」と簡単に括っても、人によっては数年続く人もいるので、介護者はしんどいですよね。。

割り切って受け入れるしかないかもしれません。

では、またーーー