認知症の症状「認知機能障害」について

認知症の症状は?

認知症の症状は大きく認知機能障害行動・心理症状に分けられます。認知機能障害は、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、失語、失行、失認などです。これらの症状は脳の障害によって直接起こるもので、認知症の種類や時期によって症状や程度の差はありますが、認知症に共通してみられる症状です。認知症の人に見られる妄想や徘徊などの行動・心理症状は突然現れるものではなく、この認知機能障害がベースになっています。

医療・介護・福祉に関わる専門職なら絶対押さえておきたい認知症の基礎知識

2018.05.15

認知機能障害とは?

記憶障害

認知症の中核となる症状です。アルツハイマー型認知症では早期から現れる症状で、エピソード記憶と呼ばれる時間や場所が限定される記憶(個人の体験)の障害が目立ちます。ヒントを言われたり、自分で書いたメモをみたりしても思い出せません。また、近い記憶から失われるという特徴もあります(逆行性健忘)。短期記憶から失われ、徐々に長期記憶も失われていきます。

アルツハイマー型認知症では初期から目立ちますが、レビー小体型認知症では初期では記憶障害が目立たないケースも多いと言われています。またレビー小体型認知症では、記銘力よりも再生(想起)に障害が出るともいわれています。

判断力の低下

脳の情報処理能力が悪くなるので、考えるスピードが遅くなったり、複数のことを同時に考えたりすることが困難になります。また自分にとってどのような行動をとるのがベストなのか、などを判断をすることが難しくなってきます。説明されていることがわからない、自分の身に起こっていることが理解できないなどの状況が増えていきます。

見当識障害

認知症になるとこの時間や場所、人を手掛かりにして自分のおかれている状況を認識することが難しくなります。「今が何月何日なのか」「今が何じまのか」「自分が今いる場所はどこなのか」などを認識するのが難しくなります。その場に合わせた行動ができなくなります。時間→場所→人の順で分からなくなってきます。

実行機能障害

実行機能は、計画を立てて実行したり、順序立てて行動したりする機能のことで、認知症になるとこの実行機能に障害が起こります。この症状はアルツハイマー型認知症だけでなく、脳血管性認知症やレビー小体型認知症でも早期から出現するといわれています。料理や掃除などの家事がうまくできなくなったり、リモコンやATMの操作が困難になってきます。

失認

感覚器(視覚・聴覚など)には障害がないのに、目の前のものや物事を理解することが難しくなります。対象物の大きさや位置関係などの目測や目算をつけることを視空間認識と言いますが、認知症ではこの能力も低下します。認知症の人が慣れている道でも迷ってしまうのはこの障害が影響しています。

失行

運動機能の障害がないのに、今まで身につけた動作を行うことができなくなります。現場で見られることが多いのは、着衣失行や構成失行です。着衣失行は、麻痺や骨折など運動器の障害があるわけではないのに服を着ることができなくなるという症状です。構成失行とは立体的な図形の模写ができなくなったり、文字が上手く書けなくなったりします。病気が進行すると、箸やスプーン、ハサミ、歯ブラシなどの使い方も分からなくなってきます。アルツハイマー型認知症では構成失行、レビー小体型認知症では視覚失認が起因と考えられています。

失語

言葉を話す器官に問題がないのに、話す、聞く、書く、読むといった言語にまつわる機能が低下してきます。相手が話している内容を理解できない、自分の意思を相手に伝えられないということが起こってきます。また、言葉や単語が出てこなくなってくるために「あれ、それ」などの代名詞が多くなってくるのも特徴です。

まとめ

認知症というと、どうしても徘徊や妄想などの行動・心理症状(BPSD)に目がいってしまい、医療・介護現場では、その症状を抑え込むことに必死になってしまう現状があります。しかし、先述したように行動・心理症状(BPSD)は認知機能障害がベースなって起こる症状ですので、この認知機能障害を理解していなければ、ケアの視点がずれてしまうことにつながります。逆に認知機能障害を理解しておけば、適切なケアを考えやすくなると思います。

認知症の症状「行動・心理症状(BPSD)」について

2018.05.15

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