認知症の進行をどう受け止めるか

現場でよく、「認知症が進んだよね」という言葉を聞きます。認知症が進むことをどのように感じますか?大抵の場合、悪い意味で使われることが多い印象があります。介護が今よりも大変になる、ということもありますが、それよりも認知症を進ませてしまったという罪悪感を感じている方も多いようです。しかし、必ず認知症は進行します。今回は、認知症の進行をどう受け止めていくかということを考えていきたいと思います。

「認知症が進む」とは?

認知機能障害の進行=認知症が進む

そもそも認知症はどうして進むのでしょうか?これは認知症の種類によって違いがありますが、脳の細胞が少しずつ変性していくことによって、徐々に脳の働きが悪くなることが原因です。脳の働きが悪くなることによって記憶障害や見当識障害などの認知機能障害が進んでいきます。この認知機能障害の進行を「認知症が進んだ」と表現します。

行動・心理症状(BPSD)が強くなるのは「進んだ」?

認知機能障害の進行が、「認知症が進む」ですが、現場では徘徊や妄想などの行動・心理症状(BPSD)が強くなったときに「認知症が進んだ」と認識することが多いようです。しかし行動・心理症状(BPSD)は2次的な症状であることと、認知機能障害以上に個人差が大きいため行動・心理症状(BPSD)が強くなることが認知症が進んだと捉えることには疑問を感じます。

ですが、認知症の進行とともに行動・心理症状(BPSD)の出現が多くなることは事実です。それは、認知機能障害が進むことにによって、自分の立ち位置がわからなくなったり、記憶が連続しないことによってストレスに耐える力が弱くなることが原因です。

認知症の症状「行動・心理症状(BPSD)」について

2018.05.15

いいケアは認知症の進行を遅くする?

ケアが認知症の症状に与える影響は大きいと言われます。ですが、先述したようにいいケアをしたからといって、認知機能障害の進行を食い止めることできません。脳トレを頑張ったからといって、アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイド蛋白を消すことはできないし、レクレーションをすっごく頑張ったからといって、脳血管障害の脳梗塞の血栓を溶かすことはできません。

じゃあいいケアは何を変える?

じゃあいいケアをしても仕方がないのか?と思う人がいるかもしれませんが、そんなことはありません!いいケアは症状の出方が変わってきます。具体的に言うと、行動・心理症状(BPSD)の出現率が低くなります。下記の図のように、認知症は不安や怒りなどの感情が行動・心理症状(BPSD)の要因のひとつになっています。

いいケアで安心を与えたり、認知機能障害があっても本人が困らないような環境を作ることによって行動・心理症状(BPSD)の出現頻度を抑えることができます。また、細かい観察ができることによって身体の不調に早く気づくことができて、身体合併症によって大きく環境が変化することを防いで、本人が望む生活を支えることができるようになります。

まとめ

認知症が進むことは悪いことではありません。もっと言えば、生きていれば細胞分裂するんだから進行するのは当たり前だよねという話だと私は思っています。大切なのは、認知症の進行から目を背けることではなく、進行したその人に状態に合うケアを見直すこと、認知症の進行を予測して本人が困らないように先手でケアをしていくこと、私はそう考えています。

アルツハイマー型認知症の進行

2018.05.15

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