前頭側頭葉変性症の病態を理解する④意味性認知症

こんにちは ブルーベル代表 市村幸美です

函館にもやっと春が♡(といっても数日前に雪が降りましたが笑)。桜はまだまだ先ですが、お花がすこーしずつ咲いてきています。

前頭側頭葉変性症の病態を理解するシリーズ4回目になりました。次回で最後になりそうです。

今回は意味性認知症についてです。

意味性認知症とは

意味性認知症は、側頭極と中側頭回・下側頭回あたりの神経細胞が限局的に変性する認知症です。

臨床症状では意味記憶の障害がおこるタイプです。物、場所、ヒトの名前などの単語が早期からわからなくなるのが特徴です。

こちらのタイプも若年に多く発症します。

意味性認知症では「単語理解の障害」と「物品呼称の障害」の2つが診断基準に入っています。

単語理解の障害

意味記憶は「言語を使ってやり取りするに必要な記憶のこと。ヒトが持っている体系的な知識」というような定義があるようです。簡単に言ってしまうと「単語に関する記憶」です。

ですので意味記憶の障害は「単語に関する記憶の障害」ということになります。

ご本人も「言葉の意味がわからなくなった」という自覚があるようです。

単語の意味がわからなくなるので、「体調はどうですか?」という質問に「体調ってなんですか?」といったような返答をするそうです。

物品呼称の障害

例えば信号機をみても、「赤い電気がついていますね」という感じで「信号機」という言葉が出てこないなどがあるそうです。

「信号機ですよ」と伝えても、はじめてその言葉を聞いたような反応をすることもあるようです。

言葉の流暢性は保たれる

発声や発語に障害があるわけではないので、構音障害のような症状はみられず、発語は滑らかなのが特徴です。復唱も良好です。

記憶障害や見当識障害はない

アルツハイマー型認知症のようなエピソード記憶の障害や、見当識障害などはみられません。また頭頂葉の障害はないため、視空間認知や計算などの障害はみられません。

左右の病変の違いによって症状が変わる

脳は右半球と左半球で働きに違いがあります。

このタイプの認知症では病変が脳の左右どちらの病変が強いかによって症状が異なるそうです。

言語は左半球の担当のため、左側の病変が強いケースでは先に述べたような症状が見られますが、右側の病変が強い場合は人の顔がわからない相貌失認が見られるようです。

食行動の変化

意味性認知症では行動障害型のような激しい症状はみられないですが、食行動は行動障害型と同じような変化がみられるようです。

いろいろ書いてきましたが、私は自身意味性認知症と言う病名がついていた人に関わったことがありません。

ただアルツハイマー型認知症の病名がついていた人で、このような症状が出ていたケースがありました。

頻度が高くないのと、 認知機能障害や行動症状があまり見られないことから、介護現場では身近ではない認知症です。

ですがこのようなタイプがあるというのを知っておくと、何かのときに役に立つかなと思いました。

では、またーーー