認知症ケアにおける入浴拒否にどう対応する?

認知症と入浴シリーズPart3です。

認知症と入浴 Part1 デイサービスと入浴

認知症と入浴 Part2 認知症の種類別 入浴拒否の背景

Part3は、「じゃあどうすればいいの?」にお答えします。

入浴拒否の背景を探る

入浴拒否に限らず、認知症ケアでは、表面的に見えている部分に振りわ回れるのではなく、その奥にある感情に焦点を当てること、全体像がみえやすくなります。

認知症ケアで疲弊しないコツは、目の前で起こっていることに一喜一憂しないことだと私は考えています。「今の状態」だけでなく、全体像を俯瞰してみる癖をつけると、認知症ケアはもっと楽になりますよ。

認知機能障害がベースになっている

上の図で奥にある感情に焦点を当てましょうとお伝えしました。その奥の感情のさらに奥には何があるか?というと、認知機能障害です。この不安や葛藤などの感情は認知症の場合、認知機能障害から起こっている場合が多いです。

入浴拒否の背景になっていると考えられる認知機能障害

この、認知機能障害と入浴拒否の繋がりがみえてくると、介入のヒントが浮かび上がってきます。

こんなことはありませんか?

・「入ってみようかな」と思える浴室・脱衣場になっていますか?

・バスタオルやオムツ、掃除道具などが無造作に置かれてはいませんか?

・前回の入浴を覚えていない人に「この間入って気持ちいいって言っていましたよね?」などと言ってはいませんか?

・無理やり入浴させたことはありませんか?

・入浴で怖い思いをさせたことがありませんか?(転倒など)

・入浴時、本人が困らないようは配慮をしていますか?

・プライバシーを守っていますか?

前回の記事で書いたように、認知症ケアにおける入浴拒否の8割以上はアルツハイマー型認知症と言われています。アルツハイマー型認知症は、実行機能障害とADLにズレがあります。身体が動くからといって、「自分でやって下さいね」と放っておくのではなく、困っていることはないか?という配慮は忘れないでおきましょう。

まずは信頼関係を築くこと

1回無理やり入れたらずっと嫌がる

私の経験上、入浴拒否をしている人を無理やりお風呂に入れた場合、その後ずっと入浴拒否が続きます。入浴時、「気持ちいい」と言ってくれたとしても、次もまた拒否します。嫌な記憶は残りやすいからです。この経験から入浴拒否をされた場合は、無理強いしないことが1番だと確信しています。

「この人の前で裸になってもいい」と思ってもらえる存在か

介護現場の入浴では、利用者は裸なのに、介助するスタッフは服を着ていますよね?「当たり前じゃん!」と思いますよね。でも、私たちの当たり前と認知症の人の当たり前は違います。“自分だけが裸になる”というこの違和感や恥ずかしさを理解できているでしょうか?「この人の前なら裸になってもいい」と思ってもらえる存在であるかどうかが、心の壁を溶かす鍵になります。

自分は害を与えない存在だと認識してもらう

施設に入所した当初や、デイサービスを利用し始めたばかりの頃などは、この信頼関係が築けていないことが多いので、入浴拒否がある場合は入浴には触れず「自分は害を与えない存在です」ということを知ってもらうことにエネルギーをかけた方が後々楽になります。

最初から最後まで丁寧に

すでに無理やり入浴をさせてしまっている場合

大きな声で言えなくても、嘘をついて入浴をさせたり、無理やりお風呂に入れている現場はたくさんあると思います。過去にやってしまったケアを引きずっても仕方がないので、これからどうしていけばよいのか、考えていきましょう。

先述したように、1度無理やり入浴させてしまった場合は怒りや屈辱の感情が根強く残っている可能性が大きいので、時間をかけて信頼を取り戻す覚悟を決めましょう。

入浴介助はどこからどこまで?

入浴介助は、お風呂に入れることだけではありませんよね?

これらの全てが入浴介助です。

「入浴できたからOK!」では次も同じ

しかしほとんどの実際の現場では、入浴拒否がある人に対して頑張るのは、入浴前だけです。声をかけ、時間をあけ、人を変え、「服だけ着替えましょう」などと嘘をつき、どうにかこうにか脱衣所に連れて着て服を脱がせる。そこまでは手厚い介護なのに、裸になって浴室に入った途端、「はい、終了」と言わんばかりにサーっとスタッフがいなくなる。雑すぎるでしょ(笑)「お風呂に入れたからOK!」「気持ちいいって言ってるし、次もいけるでしょ」は、甘いです。認知症ケア、そんなに甘くはありません。。。

最後まで丁寧に

浴室に入ってから、最後の水分補給まで徹底して「心地よさ」を提供することが、入浴に対するネガティブな記憶や感情を和らげていくポイントです。

・かゆみがないか聞きながらしっかりと身体や髪を洗う

・皮膚の異常などがあれば伝える(ちゃんとみてますよアピール)

・足の指の間など洗いにくい部分をしっかり介助する

・身体の隅々まで丁寧に拭く

・褒めて褒めて褒めまくる(笑)

・笑顔10倍

・本人の好きな飲み物を提供する

など

また、スタッフがいくら誘っても乗ってこない場合でも、他の利用者から「一緒に入りましょうよ」と言われるとあっさり「じゃあ行きます」と乗ってくる場合もあります。私は他の利用者の手を借りることもアリだと思っています。

誘っても2回まで

私は、基本的に1回誘って断られた場合は諦めることにしています。たまーに時間を空けて声をかけるとイケる場合もあるので、つい2回目もチャレンジしたくなりましが、成功率は“たまーに”程度なので、やめています。ただ、1回目の声かけのときに迷う素振りがあったときは、「後でもう1回声をかけるので、そのとき入りたくなったら言ってください」と伝えて2回目行くときもあります。このパターンの場合は成功率50%くらいの印象です。入浴の声かけは多くても2回まででやめておいた方がいいと思います。

入浴させなければいけないという気持ちを手放す

なぜそこまで入浴にこだわるのか?

「入浴させなければいけない」という思いは、どこからきていますか?入浴は誰のためですか?入浴は、家族のためではないし、ましてや職員の自己満足のためではありません。

お風呂に入らなくても死なない

極論ですが、入浴しなくても死にません。私は「入りたくないなら入らなくていい」と思っています。もちろん入浴のメリットはたくさんあります。でも、本人の自尊心を傷つけてまでやるようなものでもありません。「皮膚が」「臭いが」とか色々気になることはありますが、死にませんから(笑)

まとめ

職員がいくら頑張っても入ってもらえないときは入ってもらえませんし、もっと言えば頑張れば頑張るほど、認知症の人も入らないことを貫こうと頑張ります。認知症ケアってそんなものです。ゆるく楽にいきましょう!

 

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