認知症看護認定看護師を更新しなかった理由

2年くらい前は、認定看護師になりたい人からの相談をよく受けていました。今は、個別コンサルをやっていないこともありますが、私が認定看護師を更新しなかったこともあり、そのような相談が来なくなりました。そのかわり、「なぜ、更新しなかったんですか?」という質問をものすごく受けるようになりました。認定看護師を目指そうと思っている人だけでなく、私と同じように認定看護師を更新しない選択を考えている人も少なくないようです。

何かしらの参考になればと思い、なぜ認定看護師を更新しなかったのか?ということをまとめてみました。あくまで私個人の考えですので、そこを忘れずに読んでいただければありがたいです。

認定看護師とは

認定看護師についての詳細は日本看護協会のホームページをごらんください。

簡単にまとめると、看護師免許を持っていて、5年以上の経験(3年以上は希望する分野での経験)があり、最低6ヶ月教育機関に通い、認定試験に合格した人、ということになります。結構、大変なんですよね。そして資格取得後は5年毎の更新が必要です。

私が認定看護師になった理由

私が認定看護師を目指した理由は、大きく2つ

①認知症に詳しくなりたい

②影響力を持ちたい

でした。

①に関しては、認知症ケア専門士の受験をきっかけに認知症の勉強にハマり、(ハマりやすい性格なので 笑)、今のように認知症に関する書籍も資格も多くなかったため、今以上詳しくなるためには認定看護師の学校に行くしかない、と考えていました。

②に関しては、旧ブログやメルマガを読んでくれている人には説明不要だと思いますが、この頃の私は、「資格をとったら自分に自信が持てる」という幻想に取り憑かれて、セミナーに行きまくっていました(笑)職場でなんの影響力も持てない私に足りないのは資格だ!!と思っていたので、進学を決めました。(後から幻想だと気づくのですが・・・)准看護師の時代が長かったこともあり、バカにされたくない!こんな私でもすごいと言ってもらいたい!という思いもありました。

疑問を持った要素

カリュキュラムへの疑問

実は、「認定看護師を更新しないかも」と頭をよぎったのは、研修学校に入学してすぐでした(それでも本当に更新しないとは思わなかったですが)。周りに認定看護師がいなかったこと、私の情報収集の能力が浅かったこともありますが、他の分野と共通のカリュキュラムが多く、認知症と全く関係を見出せない授業や課題に時間を使うことに個人的に大きな疑問がありました。

授業のレベルへの疑問

また、楽しみにしていた認知症の授業も、はっきり言って全く面白くない!!!これが最高にがっかりした点です。今はもっと違うのかもしれませんが、認知症ケア専門士で勉強した内容をもう1度勉強しているような感じで、なんの意味があるのか?と毎日疑問しかありませんでした。

多すぎるグループワークへの疑問

これは、もう完全に私の適性の問題ですが、グループワークが多すぎることが苦痛以外の何物でもなかった。。新しいことを勉強したくて高い授業料を払って行っているのに、同じレベルの人間と話したところで、何があるんだ?とこれまた疑問。加えて人見知りが強いので、拷問でしかなかった。

認定看護師になったことで感じたメリットとデメリット

疑問を持ちながらも何とか研修学校を卒業し、認定試験にも受かった市村でしたが、もう疑問だらけでこの頃から「更新しないという選択肢を持って進もう」と決めていました。

看護師向けには使えたネームバリュー

私個人の能力は別として、中規模以上の病院勤務の看護師には「認定看護師」という資格の力は強かったです。「認定看護師が言うならそうなのかもしれない」「認定看護師さんに聞いてみよう」という怪しい(?)感じがありました。

介護職向けには何の力も持たない

私の場合、分野が認知症ということもあり、伝えたい対象が介護職である場合も多かったので感じたのかもしれませんが、介護職に「認定看護師です」と言っても、「へ〜〜〜」って感じです。それってどんな資格ですか?という興味すら持ってもらえないレベルです。ほんと、「だから何なんですか?」って感じです。

私が更新しないと決めた理由

派遣看護師という働き方

認定看護師になって2年目、例の(?)虐待を内部告発した事件が起こりました。このことをきっかけに、正社員で働くことが考えられなくなり、派遣看護師として働くことにしました。この派遣看護師という働き方が意外に自分に合っていることに気づき、単発でたくさんのデイサービスや施設で認知症ケアを経験できることが楽しくて仕方がありませんでした。この働き方では、認定看護師を更新するための条件が満たせない可能性があるとわかっていましたので、このときにはすでに「更新しない」という選択が気持ちの上で強くなっていました。

虐待を内部告発をした過去

2018年6月19日

介護現場での影響力

先にも述べたように、介護現場では認定看護師のネームバリューなんて、全く意味を持ちません。派遣看護師として主にデイサービスばかり行っていて、とにかく仕事を楽しむ、認知症ケアを楽しむ、ということに重きを置いて毎日精一杯やっていました。そうしたところ、「市村さんの認知症の対応がいい!教えて欲しい!」と評判がよかったんです。もちろん、認定看護師だってことは言っていません。この経験から、「資格とか関係ないんだ、真摯に向き合っていれば影響力って持てるんだ」と学んだことが、今でも私のベースになっています。

フリーランスという働き方

派遣看護師をやりながら、週末起業的な感じで自分でセミナーを開催するようになり、そのことがきっかけでセミナー講師の仕事が増え、フリーランスとして働く道にシフトしてきました。もうここまでくると、認定看護師を更新する条件を満たすことも難しく、この自由な働き方を手放して認定看護師を更新するために病院で働くという気持ちはなく、更新しないことを決めました。

それでも迷った

最初から更新しないだろうなー、と薄々感じながらそれでも4年目までは多少迷いもありました。フリーランスでやっていこうと決めていましたので、認定看護師じゃなくなったら仕事がもらえなくなるのではないか?話を聞いてもらえなくなるのではないか?と不安もありました。

更新しないで良かったと思ったこと

不安もありましたが、潔さが私の良さなので、更新をしませんでした。更新しないのは申請をしなければいいだけなので、簡単です(笑)

更新しないでよかったと思うこと、それは「発言が自由になった」ということです。3年目以降は認定看護師だという自覚もあまり持っていなかったのですが、認定看護師じゃなくなったときに、自分でも驚くくらい「自由だーーーーー!!!(喜)」って感じたんです。

実際、認定看護師じゃなくなってから、セミナーで話す内容やブログに書く内容が変わり、喜んでもらえることが増えました。

更新すれば良かったと思ったこと

今のところ、全く無し(笑)

まとめ
認定看護師でいる限り、認定看護師以上にはなれない

日本看護協会が認定する認定看護師でいるということは、日本看護協会が求めている役割を果たしていくということだと私は思います。逆にいうと、それ以上にはなれないのではないか、と私は考えました。働き方、発言、役割、全てにおいて自由でありたい、と思う私には合わなかったという、結局はそれだけです。

あくまで、私個人の意見です。