【セミナーでのご質問】水分摂取が少ないのに尿量が多い、回数が多いのはなぜ?

こんにちは、ブルーベル代表 市村幸美です。

介護職に必要な高齢者の方への基本的な医療知識セミナーで頂いた質問の中から、ブログ記事でも取り上げたいなと思ったものをご紹介していくシリーズです。私個人の見解になりますので、その旨をご了承ください。

今日は2つの質問を取り上げます。

①日中尿量が少ないのに夜間の尿量が多くなったり、トイレが頻回になる方は何が原因でしょうか?

水分摂取が少ないのに尿量が多くなる人がいます。どうしてですか?

ご質問ありがとうございます!

この2つは心臓や腎臓の機能を理解する必要があります。

できるだけ簡単にまとめますので、お付き合いください。

まず①です。

心臓の機能が低下すると、心臓から血液を送り出す力が弱くなります。そうすると心臓に戻ってくるルートが滞ってしまいます。

その結果、体の下のほうに血液(水分)が少しずつ蓄積されます。これが下肢のむくみです。心不全の人って下肢がパンパンになりますよね。

夜になって臥床した際に、その下肢に溜まった血液が少しずつ心臓に戻ってきます。

そうすると心臓は「血液量が増えた」と認識し、体内水分量を一定にするために腎臓で尿を生成し、排泄するように働きます。

また、夜間は尿を出さないようにするバソプレシン(抗利尿ホルモン)というホルモンが働くのですが、高齢になるとこの作用がうまく働かなくなるといわれています。

尿量が多くなる原因はこのあたりが大きいです。

また回数が増える原因としては、膀胱の伸縮性が低下するので1回にためておける量が少ないことが挙げられると思います。

夜間頻尿は、睡眠障害とも関連が深く、広い視点でのケアが大切だといわれてます。

では②です。

簡単にいうと腎機能が低下しているからです。

腎臓に流れ込んだ血液から原尿というのが作られるのですが、その原尿の99%は再吸収されます。いわば、リサイクルです。

この再吸収を行なっているのが尿細管という部分なのですが、この尿細管での再吸収が低下すると尿が多くなるというのはわかりますよね。

ですので、ご質問にあがった「水分摂取が少ないのに尿量が多い」というのは、腎臓の機能が低下し、再吸収能力が低下しているというサインになります。

尿量が多いからといって安心せずに、脱水の予防など観察をしっかり行なってくださいね。

腎臓の機能はこちらのホームページもオススメです。

一般社団法人 日本腎臓学会

参考になると嬉しいです。
ご質問ありがとうございました!

では、またー

1 個のコメント

  • お師匠様

    いつもありがとうございます。

    尿量と回数は、いつも気がかりなことでです。

    個々人によって差があるのもここが大きいところです。

    しかし、考え方の筋道を教えていただいてるので

    助かっております。