レビー小体型認知症の病理学的変化を理解する④

レビー小体型認知症を勉強すると、「レビー小体型認知症は全身疾患である」と書かれていますよね。「認知症は脳の病気じゃないの?どういうこと?」と最初は混乱する人もいるかもしれません。

前回の記事のパーキンソン症状もそうなのですが、もう少し知っておきたいことがあります。

レビー小体型認知症の人をケアするときに、ここを知っておかないと身体の不調を見逃してしまう可能性があります。またアルツハイマー型認知症との大きな違いもここにあると私は感じています。

脳血管性認知症のように脳血管障害がある場合と違って、レビー小体型認知症と身体を関連づけるのが難しいかもしれません。

今日はレビー小体が身体に及ぼす影響、自律神経症状について説明します。

脳以外にもレビー小体が発現する

レビー小体は中枢神経系だけでなく、末梢交感神経節や消化管神経叢などにもレビー小体が出現します。

この説明で

あーなるほどー!!

と理解できる人はここまででOKです!

 

んん??
どういうこと?

という人はもう少し一緒に進みましょう。

中枢神経と末梢神経

まず中枢神経と末梢神経って何なのか?という話ですが、中枢神経は脳と脊髄のこと、末梢神経は中枢神経から出ている神経です。

ざっくりイラストにするとこんな感じ(本当にざっくりですwww)

もう少しちゃんとまとめるとこんな感じ

もっと詳しくきっちり知りたい人はこちらのサイトへ(笑)↓
https://pathologycenter.jp/presen/17th_jiins/17th_jiins2.html

なぜMIBG心筋シンチグラフィなのか?

https://aricept.jp/about/lewy/pdf/ART1551CKE.pdf

↑ この診断基準に「MIBG心筋シンチグラフィで取り込み低下」とあります。

認知症なのに心臓!?!?

気になりますよね。

これは、心臓の自律神経の働きを見ています。

自律神経は末梢神経でしたね。自律神経は交感神経と副交感神経の2つがあり、臓器(組織)を支配しています。(働きが違うのはもちろんですが、神経の出ている場所や出ている物質など様々な違いがあります)

レビー小体型認知症では、心臓だけでなく交感神経節(ニューロンの乗り換え地点の集まった場所)や消化管神経叢にレビー小体が蓄積することがわかっています。

心臓の調整も自律神経によって行われています。この機能を調べるのがMIBG心筋シンチグラフィです。

MIBG心筋シンチグラフィは、心臓を支配している交感神経(心臓交感神経)の状態をみる検査です。アルツハイマー病では、心臓の交感神経の機能に変化がないため、認知症の鑑別診断として使われています。

もう少し専門的にいうと・・・

123I-MIBG(メタヨードベンジルグアニジン)は交感神経の神経伝達物質であるノルアドレナリンと似た物質で、交感神経から発生した物質に集まるのですが、レビー小体型認知症やパーキンソン病では交感神経の機能が低下するとこの薬剤が心臓に集まらなくなります。

もう少し詳しく説明すると、交感神経の節後神経の機能をみています。交感神経は胸髄・腰髄から出て交感神経節でニューロンを乗り換えます。乗り換え前のニューロンを節前ニューロン、乗り換え後のニューロンを節後ニューロンをいいます。交感神経の場合は節前ニューロンからはアセチルコリン、節後ニューロンからはノルアドレナリンが出ます。(副交感神経の場合はどちらのアセチルコリンが出ます)。MIBG心筋シンチグラフィはノルアドレナリンに反応しますので、対象は節後ニューロンということになります)

写真 国立長寿医療研究センター 認知症情報サイト
http://monowasure.org/ninchiw/c1/qa/q1/q1-3/01-03-02/

【参考】
http://www.hosp.ncgm.go.jp/s037/130/060/scinti_09.html

交感神経節にレビー小体が蓄積されることで、自律神経が作用している臓器に影響が出ることは想像できると思います。心臓や血管の調節がうまくいかなくなるということは血圧の調整にも障害が出てきますし、皮膚における体温調節がうまくいかないことでうつ熱になったり、発汗が強くなることもあります。他にも排尿障害もあります。

また消化管神経叢については食道上部から直腸までほぼ全てにレビー小体が蓄積します。パーキンソン病やレビー小体型認知症では腸管神経叢内レビー小体が出現することで便秘になることがわかっています。

いかがでしたでしょうか?
少しレビー小体型認知症が全身疾患であるということが繋がってもらえたら嬉しいです。

まとめ

1.レビー小体は中枢神経系だけでなく末梢交感神経節や消化管神経叢などにもレビー小体が出現する
2.交換神経節にレビー小体が蓄積することで自律神経症状が起こる
3.MIBG心筋シンチグラフィはアルツハイマー型認知症との鑑別にも使われている

次回で最終回になります。次回は神経伝達物質やそのほか細々とした補足について説明します。


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2 件のコメント

  • お師匠様

    ありがとうございます。

    今日は、なるほど! でした。

    精神保健のことを学んでいますが、やはり基礎医学を

    きちんと学んだ方が良いと思っています。

    この連載はめっちゃ助かっています。

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